2017年10月29日

【勝手句帳】157 29-10-20/10-21/10-24 其の3静岡新聞掲載分から

↓7)向宜詠吟.2017/10/29

|送り火の尽きてしばらく闇の中      浜松市・三ヶ日俳句研究会水鳥発行所(10-20)

|送り火の尽きてしばらくと闇 うつつに戻るたびの切なさ


> ‥今年も又、送り火を見送った
> どれほどまでにこの行事をやり遂げれば、悲しみから解き放たれるというのだろう
> 送り火が尽きて、岸辺が闇に包まれる度に供養と考えるといたたまれなくなる
> 「これは供養行事などでは無い、生き通しの魂との付き合いなのだ」
> ‥そう考えずには居られないのだよ



1-7)1

|燕帰る空何処までも晴れ渡り        焼津市・いせぎ句会(10-21)

|本土踏む国どこまでも焼け野原 お先まっくら我が家はいずこ


> ‥「やった!」ようやく生きて帰ってきたぞ
> 引き揚げ船の甲板から見えだした時の漲ったささやかな希望は
> 本土の土を踏むと同時に、一気に寒空の下に投げ出された
> ‥これほどまでに、焼け野原になっちまっていたとは‥
> ‥そのまんまお先真っ暗じゃねぇかい‥
> ‥おらんところの屋根さあるべか‥
> こうなっては、もしもの時の頼みの綱はお互いの顔だけだった




|矮鶏飼つて古りし農家や秋の雲       静岡市・葵句会(10-21)

|米交換古りし農家で秋の雲 検挙されずに帰りたし


 *矮鶏(チャボ)、古る(ふる)

> ‥日朝戦争が終わった(妄想)
> 伝説の焼け野原ほどでは無かったが日本国内でも食糧の確保は必死だった
> 誰しもは思い思いのレアアイテムを手に田舎へと足を運んだ
> 農家がどれだけレアアイテムを必要とするかと言うよりも
> いずれは換金できるからとのネット時代を経た時代感覚さながらの目算だった

 そこに目を付けていたのが、ザイニチ×ソウカだった

> 高田より金子へ「ただいま米20キロ出荷していきました」
> サイト登録No.××××だと言うことです
> サイト登録No.××××、端末位置捕捉しました、そのまま追尾します

> 金子より安田へ
> ○○行き○○時発の列車にかなりの出荷米が集まってくる模様、検挙されたし
> こちら安田、了解!


 「いいか野郎共、我が管轄の領域から米粒ひとつ外に出すんじゃねぇぞッ」

 ♪だあれも知らない知られちゃいけーないー♪検挙米の行き先をー♪(デビルマン調)
 ‥こうして、検挙された米は、再びザイニチ×ソウカの農家へと戻されるのだった。チャンチャン


 ※ 終戦当時の検挙も似たようなもんだったかも知れませんよ
   (ヤクザと警察はツーカー)信じるかどうかはあなた次第です!



1-7)2

|日射し避け簾で冷水心太          沼津市・香陵句会(10-20)

|売り切れの海でコーラ心太 昭和の人混み思う浜


 *心太(ところてん)

> テレビがまだ高級品だった昭和の砂浜はもっとずっと長かった
> テレビも無い=娯楽も少ないということで、夏の浜辺での人だかりもすごかった
> 交通の便も交通量もまだ出始めだったから、海の家が品切れをおこすこともまぁ有った
> ‥思い出すなぁ、あれもこれも売り切れでコーラと心太だったのを


 (実際どうだったかはまったくもってわかりません、あしからず)




|こほろぎの住処大事に掃き清む       沼津市・きさらぎ句会(10-21)

|こほろぎの住処押し寄せ掃き清め 行政令で退去しか


> ‥戦後復興からバブルを経て、日本が豊かになって、日本中のあちこちで
> ホームレスの溜まり場やら、戦後バラックの名残の地区やらの立ち退きが推し進められた
> 所謂、豊かになった国家としての見映えなどを気にしての取り組みだった



1-7)3

水撒けば暫しとどまる揚羽かな       静岡市・わらしな渓流句会(10-20)

|打ち水や行き交ふ影に揚羽をり さっそく口説くもなんとあっさり


> ‥かつてイエローキャブなる言葉があったそうだ
> 調べてみるとスラグ用語からの派生で、もともとはアジア系売春婦を表す俗語だった
> それがなぜか日本人女性を指す用語になった経緯がある‥
> まぁ、それだけ西洋への憧れを抱いていた女子も多かったと言うことで
> 昭和バブルの頃にハメを外していた女子も多かったということの現れなのだろう
> (‥売春婦をタクシー呼ばわりするような文化色の蔓延る外国のどこが好いんだろうね?)



1-7)4

|夏草や一寸を競ふ庭           裾野市・寿大学俳句教室(10-20)

|夏草や先一寸を競う日々 なんと貧弱草刈りに果つ


> バブルが弾けると、借り剥がしが頻発する
> 信用創造からの利子やら担保を市中銀行が中央銀行に納める期限がやって来るのでそうなっていた
> ‥かつてはそれを「公定歩合」などとざっくり呼称していた‥
> 競争社会と言ったって、中央銀行システムだけが100%生き残る為の陰謀だった
> それを知らないとばかりに、一生懸命に明日を夢見たって不公平しか創出されやしない
> 能力主義と自慢げでも、中央銀行としての豊かさの追求こそがバブル崩壊の有り様だ

 ‥お金の価値を維持しようとするから命の価値が反比例すると言うことだよ‥

> まったくもって貧弱で、略奪で、残念な取り組みだよね




|スイカ売る主人もゴザに座りおる      島田市・主流社句会(10-20)

|西瓜売る主も茣蓙や身売りとは 株式会社の品揃え


 *茣蓙(ござ)

> 企業がまるく熟れてくると、必ずどこからともなく代官がやって来る
> 代官と言っても資本の方の代官で、財布を握られるのだ
> 財布ばかりではない、社長のイスの人事権まで握られるのだ
> そしてついには、身売りまでして、代官に貢がなければならなくなる

 ‥そうなっているのが、株式会社の品揃えと言うことだからね‥

> 下っ端の社員がクビを切られるなんて、スカスカ西瓜の在庫破棄だよ
> 熟れた方が優秀なんだから、身を売る程に頑張りなさいってことだよね

 ‥だから‥

> 能力主義とは、代官の手の内に収まるように上手に売れ残りなさいってことだよ
> (資本社会の上層は、代官好みのタチの悪い売れ残りの集まりだってことさ)



1-7)5

|草の山動かす下に昼ちろろ         静岡市・わらしな渓流句会(10-20)

|草の山動かす下に昼ちろろ ニートもごまんと居る社会


> 世間には隠れニートがごまんと居(お)る
> それは、昼に草叢(くさむら)を動かして、コオロギを見つけるぐらいの割合だろうよ




|藷の蔓白露をのせて絡みおり        静岡市・わらしな渓流句会(10-20)

|藷の蔓白露をのせて絡みおり すぐに乾くよマニュフェスト


 *藷の蔓(いものつる)、白露(はくろ)

> 選挙時は、立候補者の誰もが勇ましく白露に輝いて見えても
> 所詮は、政痴屋の集まりでしかないからね、立派な志も具体的になると途端に嘘と化する
> ‥表現下手だったと言えば、聴衆自体が馬とか豚にも聞こえちゃうから‥
> 民衆は皆、腹黒確定として、裏切られたとばかりに無責任にも言い始めることになる
> ‥これもまた鏡似性で‥
> 選んだ有権者のプライド通りの‥自分可愛さぶりの政痴屋ぶりの劇場になるってわけさ



1-7)6

|SLを仰ぐ河原秋日和          藤枝市・時ヶ谷明句会(10-21)

|SLを仰ぐ河原や天高し 昭和はなぜに夢に満つ


> ‥SLの走る鉄橋の下で、来るのを待つ秋の空がバッチリの背景になりそうだ
> それにしても、平成から眺めるとSLはもはや昭和的象徴だな
> 新幹線はどちらかと言えば、平成に革新した向きが大きいから今後は平成的象徴になるのだろう
> ‥でも、戦争もあったけど
> ロマンで言えば、圧倒的に昭和だし、SLだと思う
> どうしてそう思うのかはよく解らないけど、新幹線にはそこまでのノスタルジーはないと思う
> ‥やっぱり、昭和だろうし、SLだと思う(昭和の当時は明治だったのにな)



1-7)7

|母愛でし百日紅咲く終の家         静岡市・葵句会(10-21)

|終の家百日紅には母の影 この幹だけは何としてでも


 *終(つい)、百日紅(さるすべり)

> 母が亡くなって、実家を手放すことになりました
> でも、母が大事にしていた庭の百日紅だけはどうにか残したい
> ‥というか、今住んでるところの庭が空いてたので移樹させちゃいました(てへ)




|列車旅二十歳の夏に立ち帰る        裾野市・寿大学俳句教室(10-20)

|列車旅二十歳の夏に立ち帰る 今はふるさと汚染に死せど


> ‥命も惜しい、故郷も惜しい
> でも、自分一人しか居ない故郷を故郷と呼べるだろうか?
> なにゆえにそこまでする必要があるだろうか?
> それでも、ここで、この土の匂いの中で生きていきたい
> そう思えば思う程、あの頃はただ平凡な日々をぬくぬくとやり過ごしていただけだ
> 一心同体だとどこかで感じているからこそ戻りたいのに
> あの当時の自分では、もはやここでは生きていけないのだ
> 自分一人でも生き抜くたくましさが有るか無いかだ
> 畜生‥未だそこまでに及ばず、人恋しいだけの自分が腹立たしい




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 15:43 | Comment(0) | 名句にポン/2017後半 | 更新情報をチェックする
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