2017年12月06日

【勝手句帳】172 29-12-1/12-2/12-5 其の1静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2017/12/06

|見晴るかす美瑛の丘の花野かな       焼津市・豊田句会(12-1)

|見晴るかす美瑛の丘のラベンダー 緑肥をよそに香りふりまく


> 美瑛の花畑の多くは、緑肥(りょくひ)と言って
> 見事に咲き誇っている花を、一気に畑地に漉き込む為に植えられています
> その点、ラベンダーは扱いが違うようです‥


 ‥新しく道路を開通させる為には、まず迂回路が必要です
 まずはバイパスをこしらえて流し、新設道路の開通のあと、さらに迂回路をつぶす工事をします
 ‥農業の土作りも、これと同じで、目的の作物をよりおいしく作る為に
 わざわざ安価な花を植え、花を付けた栄養の新鮮なところを漉き込んで土の養分にします
 ‥陰謀論でも、目的の為には民衆操作の段取りが外せません
 如何なる謀略を用いても、戦争をさせ合う為の敵対気運作りと技術投資から始めます

 ‥貧乏育ちには考えもしない、手間とカネの使い方には圧倒されるばかりです
 ということで

 ‥どこぞの誰とも知れない俳句に短歌も同じことでした
 他者のキラリとしたエッセンスを漉き込んで詠み上げるわけですから
 このような用法を「漉きこみ短歌」略して「漉き歌(すきうた)」と表現したいと思います


 旅も付き合いもカネも掛けない用法で
 エコロジーに大量生産が可能という「漉きこみ」は
 詠んでるこちらも毎回が驚きの連続です(一人では到底辿り着かない数々の視界に‥OTL)





|腹巻きはバイオのころも冬の知恵 善玉菌をもてなしておけ


> ‥腸内菌にかかわらず菌の発酵作用を促すには、温度は欠かせない要素です
> つまり、冬場にお腹の体温を下げてしまっては
> 腸内菌にとって過酷な環境に早変わりしてしまうわけです
> ということで、昔から用いられているのが腹巻きです
> 格好悪いなどと言わずに、善玉菌をもてなしておきましょう



1-5)1

|草茂るしゃがみ気がつく小半日       島田市・新俳句人連盟県支部茶の花島田句会(12-1)

|草引けばかがみ気がつく小半日 養う影に黙する青田


 *かがみ(屈み、鑑)小半日(こはんにち)

> ‥なんだ、もう昼の時間過ぎてるべ
> (不思議と今日は疲れ知らずに集中できてたな‥なしてだべ??)
> それにしても、話す相手も居ねぇし静かなままだっただな
> 田んぼの草を引くのに、夢中になってるときがおらの青春、おらの人生


 ‥まぁ、どんな仕事でも、成熟してしまうと、ひたすらのメンテナンス作業でしかない
 机の上のプログラムという畑の中だって、虫取りが欠かせない
 やってることは同じなのだ、地味な作業に始終するのは同じなのだ

 ならば問おう

 田んぼの草引きほど、最も過酷で最も地味で最も最強に見える挑戦も無い
 誰も付いてこられない静けさを味わえる場所こそ青田のど真ん中だよ、諸君!
 (伊達に「男」の字源に冠してないんだぜ、それが「田」だよ)




|稲の花農家の幸を祈るかな         島田市・新俳句人連盟県支部茶の花島田句会(12-1)

|放棄地や売るよりマシと農の乱 権利あやふや先祖に配慮


> ‥先祖代々の農地を売って、潰されて、誰ぞの家が建つ
> 「うれしくもなんともねぇ」
> だが、売らなきゃ売らないで資産税がのし掛かる(どうすんだよ)
> ‥結果、辿り着いたのが耕作放棄‥
> 土地を取り上げられるのを覚悟の捨て身の選択
> ところが、大量に発生してしまったことで、行政としては逆に手が出せない


 (これも又、先祖の加護と言うことなんだろうよ)



1-5)2

|子供らの声遠くより稲の花         島田市・新俳句人連盟県支部茶の花島田句会(12-1)

|ガキざれはもはや昔よ秋の里 飛び回りたる見上げし空無く


> ガキの頃に遊び回っていた田畑の姿の面影なんか今やどこにも無い
> 諸々の敷地には、細々と物件が建ち並び、向こう側どころか空さえも虚しくやせ細っている
> ‥ガキ年歳のこどもからして、遊んでいる姿を見ないもんなぁ




神水屋柄杓に休む赤とんぼ         焼津市・豊田句会(12-1)

祈り来て柄杓に休む赤とんぼ 伝承せずば未来来ず


 *水屋(みずや)、柄杓(ひしゃく)

> ‥神社に祈りに来たところ
> 水屋の柄杓に赤とんぼが止まっていた
> その珍しさにふと思った
> 「これは、神頼みになんて頼ってないで、自ら活動して伝えるべきという次第だと‥」


 (赤とんぼが生き残るにしても、田んぼという環境を維持しないのでは難しい)



1-5)3

|新緑よ枯葉の言い分も聞いてくれ      島田市・新俳句人連盟県支部茶の花島田句会(12-1)

|女ども未来の言い分聞いてくれ 「命と美貌どっちが良い?」


> ‥でもなぁ、農家に来る嫁が居ないことにはなぁ
> 今の女は、農業に興味のある同士でグループを興してとりあえず始めちゃう勢いは有っても
> 昔ながらの農家には嫁がないからなぁ
> もどかしいミスマッチの山積みにはほとほとだよ

 ‥それでなくても‥

> 現代人の多くは、衣食住を、ブランドを介して手に入れるべきと思っている節がある
> だから、相手を選ぶにしてもイベントを介してのチョイスだと思い始めているのでは??
> 不思議なことに、こどもを先に欲しいと願うほどの欲求もホルモンも発動することが無く
> ‥こどもが欲しいと思うにしても‥
> 「結婚無理」「妊娠不能」などの制限が突きつけられてようやくという状況だろう
> 人生の選択肢が増えれば増えるほどにそんな感じか??




夜の通り雨のような人だった消えそうな記憶         浜松市・槙の会定例句会(12-5)

|寡黙たる人との日々など通り雨 渇きに満ちれど私の縁


 *縁(えにし)

> ‥毎日たのしくおしゃべりがしたくて、したくて
> なのに、どうしてこの人と一緒になったのかが不思議なぐらい寡黙な人でしたよ
> (以前はそうでも無かったはずなのに)でも、これも私の縁であって
> 切ってみたところで、私の人生の過去の歩みが変わるわけでもありません
> ‥それ以前のトラウマとして‥
> 他に、私の望むようなおしゃべりをしてくれたタイプに、出会った例しがないのよね‥OTL



1-5)4

|又おいで妣の言葉秋桜          島田市・新俳句人連盟県支部茶の花島田句会(12-1)

|「又おいで」妣の言葉秋桜 立場の変わる齢に立ちて


 *妣(はは、亡き母)、齢(よわい)

> ‥「又おいで」
> 昔に帰省のたびに、母が口にして送り出してくれていた言葉だ(その母はこの世にもういない)
> すっかり立場が変わって、今じゃ私が、その言葉を発して帰省した娘家族を送り出している
> (近くにコスモスの名所があるせいか、お互いにこの時期に帰省するのは似たのかなぁ)




|七十余年過ぎてしまえば幻か今日の元気に感謝わきくる    裾野市・石蕗歌会(12-2)

|百歳を迎えし朝もどっこらしょ まだまだ生くよ私の笑顔


> ‥「ひふふふふ」生きとるで
> ついに悲願の100歳じゃ、さて起きるとするけ(どっこらしょ)
> まだまだ生きてる感謝の朝日を拝まんとな
> これが100歳の朝日か、どうにもうれしゅうて「生きる欲」が湧いてくるけ



1-5)5

見上ぐれば空にさざ波鰯雲         沼津市・さざなみ句会(12-1)

|旅と酒 空にさざ波鰯雲 何遍見ても散財の元


> 見事な鰯雲を見る度に、旅に誘われるままに立っちまうのが俺よ
> どうにも散財の元だよね
> 旅先で飲むのもセットだから尚更だよ
> ‥だからと言って、他に貯めて置きたい理由も無いんだよな




山の端に沈む夕日の色に似てカンナ咲き居る主亡き庭     御前崎市・もくせい短歌会(12-2)

|山里に富める秋日の色生やし日本の柿に絶賛の声


> ‥なんでも海外で
> 日本産の柿がブームなんだとかで、輸出増なんだと
> もともと土着の特産だからな、日本産が一番なんだろう
> (それにしても、なんで今頃)




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 16:45 | Comment(0) | 名句にポン/2017後半 | 更新情報をチェックする
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