2017年12月13日

【勝手句帳】174 29-12-8/12-9/12-12 其の1静岡新聞掲載分から

↓4)向宜詠吟.2017/12/13

|玄関の秋を連れ出す初尾花         浜松市・浜松川柳社いしころ会(12-8)

|清めれば秋を連れ出す竹箒 深まるほどに焼き芋の味


 *初尾花(はつおばな)、竹箒(たけぼうき)

> ‥広い庭の秋の掃き掃除という奴は
> 空は澄んで綺麗だけど
> どうにも紅葉&落葉を促してるようで、吐けば吐くほどに切りが無いよ
> でもまぁ、深まれば深まったで
> 芋を焼くのに丁度の量がすぐに積もってるもんさ
> (こうなるとどうにも焼きたくなっちゃうんだよな)





|名人や旅に連れ出す鰯雲 誘われ来たる紅葉降る里


 *鰯雲(いわしぐも)

> ‥鰯雲は、とても旅に連れ出す名人ですね
> で、誘われてどうにか訪れたのが、紅葉見事な里でした
> 紅葉が降る里、縮めると「降る里(ふるさと)」
> たしかに、故郷を思うときの代表格は、何と言っても「秋の夕日」「秋」ですからね
> (仲間と実りあってこその里でもありますし‥やっぱりそここそが「ふるさと」かな)



1-4)1

山道の窪やの水           焼津市・いせぎ会(12-9)

|山道や轍を押して鰯雲 牛と鼻息ふんばる阿吽


 *轍(わだち)、阿吽(あうん)

> ‥大八車での荷運びの途中
> 山道で凹みに填まっちまった
> 牛だけの力じゃ足りんから、後ろから息を合わせて押し上げるしか無い
> 踏ん張りながらの鰯雲が、オラっちの奮闘を応援しているように見えたで




|秋晴や軽やかに行く老夫婦         焼津市・いせぎ会(12-9)

|秋の山軽やかに摘む老夫婦 栗に茸に満ちたる果実


> ‥老夫婦なんて聞くと、年寄りに思いがちだろうけど
> (馬鹿言っちゃいけねぇ)あいつらは、秋になると別人よ
> 栗やらキノコやら果実やらと、どこからともなく掻き集めて行きやがる
> そりゃもう、手練れって奴さ、敵いっこないのなんのってな



1-4)2

|こほろぎも仲間の一人朝の畑        沼津市・潮音水曜句会(12-9)

|こほろぎも仲間の一人朝の畑 有機栽培褒めちぎりをり


> 秋になると、朝にだってこおろぎが鳴いている
> ここの畑は住み心地が良いぞってな
> ‥まぁうちは有機栽培だからな
> (労を褒めてくれる奴がいるだけで、随分と朝が違うものだよ)




|透き通る露の雫に身を映す         三島市・三島市民俳句会(12-12)

|露映ゆるその潔さ誰が為に 濡らし暮らしつ暁待てば


 *誰が為に(たがために)

> ‥朝の畑には、中には何も喋らずだんまりの奴も居る
> 余りにも静かすぎるにしては、気がついてみれば泣きすがっていたりする
> かと思えば、日に照らされ始めると、綺麗に消えているのだ
> どうにも変わった奴だよ
> こちらは、注目なんかする気も無いのに、嫌でも目線が合ってしまうだ

 ‥そこで訊いてみたさ‥

> 「お前さんは、どうしていつもあんな調子なんだね?」
> 「どんなに儚く辛くとも、ただただ朝の来るのを待つのが信条です‥だども人恋しくてつい‥」

 ‥これはこれは‥

> 「露」が朝にピュアに見えるのは、どうにもそういう心構えの賜ということのようだな



1-4)3

小春日の地球儀廻す幼き手         浜松市・えぼしやま俳句会(12-12)

|秋思う地球儀廻す幼き手 くるくる遊ぶおもちゃにしては


> ‥おやおや、地球儀に興味があるようだ
> 小さなお手々で廻しはじめよった
> 何を思っておるのじゃろうな
> 何しろ、まだ地球が丸いなんて想像も付かんじゃろう
> ‥だが‥
> ただのおもちゃに無いことぐらいは察するだろうて
> (遊ぶにしては使い勝手が悪いのだし)
> (ただのおもちゃもどきにしか見えていないなら、平凡ということよの)




ちやんちやんこ朝日の中の二羽      掛川市・鴟尾の会(12-9)

|ちゃんちゃんこ朝日の中の雀二羽 早足冬でもまだ秋と


 *早足(はやあし)

> ‥早足の真冬並の寒さに耐えかねて、ちゃんちゃんこを引っ張り出したよ
> それを着たまま庭に眺めていると
> 雀が二羽、この寒さの中の朝日に現れたよ
> まだまだ雀は秋気分のようだ(よくもまぁ平気だこと‥)



1-4)4

|夕映えにやさしく光る尾花かな       焼津市・いせぎ会(12-9)

|夕映えに黙してひかる尾花かな 取り柄の無くて皆通り過ぎ


> ‥自分じゃ頑張ってるよ
> でも、誰もほめてくれやしないさ
> どうせ人並み以上に何かができるってわけでもない
> 目立つことといったら、いつもヘマをしての方が多いかも知れない
> ‥そんなだしするから‥
> ぼくは、夕映えにただ黙して光っている芒のようでも十分さ
> (だって、それだって生きてるんだぜ、恥ずかしいどころか立派だよ)




さよならをしてきた夢が追って来る     浜松市・浜松川柳社いしころ会(12-8)

|置いてきた夢がもたげる老い炬燵 たわいなくともひろげてみれば


> ‥平凡で地味な半生を終えた
> いつしか年金暮らしとなり、時間だけは持て余している
> 「時は金なり」というが、どうにものんびりだけでは自分の程度という奴が身に迫る
> ‥なんら束縛も無く、自由にやれるというのに‥
> 老いを理由に何もやらんと言うのでは、やはり人としての器がその程度という事になろう
> 今更ではあったが、炬燵でまるくなっているよりはましと、自分に風呂敷をひろげてみたよ
> (なんだろうとやり始めてみると、気持ちが若返るなぁ)



|さよならと未練はふたご旅道中 手にするべきは我が旅と


> ‥人生とは旅なり
> ‥旅に出会いは付きもの、別れも分かれも付きものだ
> 息がピッタリで、相性たのしさの最中にいると
> ご所望以上の素晴らしきに出会っちゃたりすると
> ついつい自分の足だけで歩こうとしない自分が居たりする

 そんな自分は御免と思って、ひとり旅に挑んでいるというのに

> いつだって未練があとに付いてくる
> 「でもそうじゃない」まずは自分の芯を貫くことだと思っている




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 12:32 | Comment(0) | 名句にポン/2017後半 | 更新情報をチェックする
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