【勝手句帳】175 29-12-8／12-9／12-12 其の2静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2017/12/14

｜青春は戦闘帽で挙手の礼　　　　　　　　　牧之原市・細波川柳会（12-8）

｜青春は戦闘帽で挙手の礼 死ニ方用意のその間ほど

　＊挙手の礼（きょしゅのれい）、間（ま）

＞　‥戦前生まれの空気には、兵役が骨にある
＞　「青春」×「戦闘帽」×「挙手の敬礼」
＞　太平洋戦争映像を引っ張り出すと、途端にそれの世界が現れる
＞　（あれが日本男児の本懐にすら描かれている）

　‥どうしてあの時代の人達は‥
　あんなにも礼儀正しく「死に方用意」にも挙手の礼と共に死ねたのだろうか？？

＞　主に兵役絡みで集まったというだけの事に‥それほどに真剣に仲間を思えるのなら
＞　今の時代のちゃらんぽらんの自由選択ゆえの競争には、なんのメリットも無い
＞　むしろ現代社会の方が「不幸の追求」の最中を彷徨っているようにだって見えてしまう‥

　‥まぁ、どっちにしたって‥

＞　やらかしていることは、戦争行為、略奪行為、俺たちこそが正義の風情だからな
＞　時代に作法の違いが在るだけで、勝ち取るとした中身にさほどの差は見られない

　（手足をもぎ合うばかりで、手を取り合っちゃいない空気も同じさね）

---

｜一代記胸に画くだけ書にならず　　　　　　　袋井市・どまん中川柳（12-9）

｜一代記健気な人生書にならず やはり波乱の家臣かな

＞　‥一代記を書いてみたいという願望が有るだけで、書に至るには及ばない
＞　どうにも平凡だし、自分にできる非凡な一代記といったら
＞　‥そりゃ‥
＞　恥ずかしくない大きさの組織について
＞　それの波乱に巻き込まれて、頑張って、生き抜いて
＞　その波乱の時のしかとした家臣だったって所に、胸を張るぐらいが精々に思えるばかりだよ


　‥「信長の野望」からして
　当時のご先祖様らが、ずらり登場するだけでも「誇り」を抱けるからな
　‥でも、それにしたって
　戦国の世が、天下に戦無き平和を目指していたからに他ならない
　生涯に終える見通しすら立てることが無かった身勝手だけの応仁の乱と比べてみれば
　雲泥の差を思わざるを得ないわけで
　今の時代にしたら、どうにも応仁の乱と同類だし、自慢できることなんかどこにも無い


　‥まぁ「波乱」といっても
　個人の大成目指してというよりは、平和への貢献ということだと思うけど
　その波乱の起きるにしたって、市場好き勝手挑戦原理だからな

　千人万色の時代ともなると
　自由にしたって無秩序的飽和だよ
　「自由からして必要悪」の扱いで論じることはいくらでも可能さ

　つまり

　波乱の形も様々に捉えることができるだろうよ

　（ドラマチックにあるかどうかを問わなければ、波乱も又解釈しだいさ）
　（肯定も見方しだいでもあるわけだ‥それこそが千人万色の視界にあろうよ）

1-5)1

｜立冬や残し置く柿つひに落つ　　　　　　　　掛川市・鴟尾の会（12-9）

｜立冬に残し置く柿もたず落つ 木守りぞ欠くアベノ冬越し

＞　‥あーんなに秋だったのに、世間の目尻もりかけコール♪
＞　２０１７衆院選の自民党圧勝の秋は何だったのだろう‥
＞　終わってみれば、数の論理がおかしな事になっている
＞　身内からも総理に質問攻めの様相だ

---

｜いつの間に立ち話の輪返り花　　　　　　　　掛川市・鴟尾の会（12-9）

｜いつの間に安倍の支持率返り花 アメポチ頼み一点のみで

＞　‥日米同盟に支持率はあるだろうか？
＞　安倍の支持率がインチキかどうかは、そこから辿ればすぐにも正否が分かるだろう
＞　もし仮に日米同盟に支持率が無いとしたら
＞　反原発の勢いはまさしく本物だ
＞　しかし、日米同盟寄りでしかないのなら、矛盾を抱えているのは国民の方になる
＞　（火の無いところに煙は立たないからな）


　‥もっとも、今どきの日米同盟のスポンサーが
　日本側のとある財団だって話とも成れば、日米同盟自体が資金運用の隠れのみで
　同盟自体が表向きなだけで、どうなっているのかなんて‥まったく以て怪しい話になってくる
　（国の内側になんらかの国賊もどきが蔓延っているって確定要素になるからな）

　‥仮に、それで世界の火薬の均衡が保たれていたとしても
　よろこぶ顔はどこにもないだろうよ（青ざめるばかりだろうさ）

1-5)2

｜ミサイルで世界相手に駄々をこね　　　　　　藤枝市・藤枝川柳番茶会（12-8）

｜原発で国民相手に駄々をこね 里に肥やしと糞を垂れよる

＞　‥「原発」が十人十色だってのは今に始まったことでは無い
＞　しかし、たらればで論じる政治ほど政痴屋もあるまい
＞　ただでさえ、原発はトイレの無いマンションで、そこの見解は一致しているのだ
＞　産業の定着しない里で「野糞」をたれ続けたいなんてのは
＞　「片田舎で立ち小便して何が悪い」を押し通す酔っ払いと同じだよ
＞　核燃料リサイクルの夢に酔っ払うのもいいかげんにしてほしいものだ

---

｜一人きりトイレに入ればチャイム鳴る　　　　藤枝市・藤枝川柳番茶会（12-8）

｜うんこだし一人トイレやチャイム際 その手があったかそのままサボり

＞　‥義務教育時代のトイレの大は、なぜか冷やかしの的だ
＞　これはいったいどういう神経で成り立っているのかが実に不思議だ
＞　教師だってわかっているくせに、どうにも放置状態のままだ
＞　‥そこで、こう考えた‥
＞　今やチャイムを無くす流れだと言う、ならば
＞　ますます時間間近にトイレに入る奴も少ないことだろう
＞　だから、その間際に入って、そのままサボってしまえばカムフラージュできるだろうさ


　‥先生にツッコまれたら、一言こう言っておけ
　「イジメ沙汰に空気なんか読んでねぇで、児童や生徒の体調こそに空気読め
　　それとも何、授業遅刻でその都度授業を中断されても良いわけ？」とな

1-5)3

｜赤字でも絶やさぬ笑顔客に見せ　　　　　　　藤枝市・藤枝川柳番茶会（12-8）

｜赤字でも絶やさぬ笑顔客に見せ カネの工面や泣き落としやも

＞　‥誰がどんな哲学で店先に立とうが自由なわけだが
＞　とかく「常に笑顔で」という話になると、そんな店には行く気が失せる
＞　俺流に言わせると、「笑顔×→自然体○」で望むべきに思うよ


　「常に笑顔」とか、隠蔽体質も甚だしいこだわりだろうが！！
　（うそが正直に顔に出る人は要りませんの言いようだぞ）


＞　‥ぜってぇ、どっかで泣き落としがあるはずだ
＞　無かったとしたら‥
＞　ズルもインチキもし放題って事だぜ（それが言葉の奥行きよ）


　‥世界でも笑顔の牙城と言ったら、あすこさね
　弁当持ち込み禁止だし、入場料お高いし
　お客様サービスとしての適切な料金の牙城に立つ笑顔だからな
　そんなの差し引き普通のサービスだし
　（至って、泣き落とされてから入場しているわけっすよ）

　‥それで笑顔の王国とか（ツッコむところだよ諸君）
　‥それってつまり、営業スマイル以外禁止の空気だからね
　‥禁止事項多すぎるのに夢の王国とか、それが正しいなら
　‥世界に蔓延る自由の多くは、概ね間違っているって事にもなるな
　‥まぁ、どっちつかずと互いに大きな需要があるってわけだし（で、思考停止と）

　そんなこんなで

　笑顔でさえ、維持していくには秩序要求しているわけよ
　（赤字でも笑顔とか、マゾすぎる）


　‥自然体で成り行かないのなら
　そもそもからして経営難にしか成らん
　競争社会からして不自然なのに、そこから受け入れてりゃ、そりゃ無理することにもならぁな
　っていうか、はじめから無理、無謀、無鉄砲

　そこを押しのけても頑張るのが自然体とか‥そんなの前提がおかしいだけだぜっ

　（お花畑でも生きていけない社会ってのも、半分は狂ってるんだし）
　（頭から、お花畑を馬鹿にしても片手落ちって事だから‥その辺の言い合いも馬鹿げている）
　（ならば、泣き落としだって理屈としては何も間違っちゃいないってわけさ）


　‥そこが恥に見えるにしても、単に当人がこだわっているだけだからな
　自分のこだわりが通用しなくなってきて、ようやく助けを呼ぼうにも
　口から飛び出すのは、逆ギレだったりするし
　ほんとよくわからんのが「プライド」ってやつさね

　‥こだわるなら
　「継続」にこそこだわれって事だろうけど
　欧米のそこは、交代ありき奪い合いありきの持続性という事なんで
　お互いにこだわっているのは利権争いと言うことになる

　日本人のそれは、どうしたって自分の田畑が与えられた一生懸命に填まるらしい

　でも、自由が前提で、好き勝手に選んだにしては、気合入りすぎだよ
　競争社会なんだから、失うの前提なんだからさぁ
　失うの嫌なら、競争社会に反対するべきが筋なんだぜ


　‥それともお前らは
　すべてを断捨離できるほどに良く出来た聖人様気取りなんですかね？
　競争社会の魑魅魍魎（汝の欲しがり）を相手にまぁ大した挑戦だよ（呆れるほどに感心なことだ）

---

｜汗臭い野良着に染みた父の背な　　　　　　　袋井市・どまん中川柳（12-9）

｜労わらむ野良着に染むる父の汗 酒に変わればねぎらいじまいや

　＊労る（いたわる）、労う（ねぎらう）

＞　野良着の汗臭いのを見てると、父ちゃん頑張っとるなぁと思う
＞　でも、こちらのもてなしを待たずして、勝手に酒を始めるのを見てるとなぁ
＞　ただの酒臭いだけのオヤジやわ
＞　もてなしてやろうなんて気持ちも店じまいってやつや


　（もてなしの気運に欠いてもなぁ、こちらとしては腹立つんや）
　（勝手に自己完結してるんやないで）

1-5)4

｜古い靴たまに履いたら踵とれ　　　　　　　　藤枝市・藤枝川柳番茶会（12-8）

｜古い靴たまに履いたら踵とれ 中国製の時限ゴム

＞　‥警備時代の安全靴取っといたんだけど
＞　久しぶりに履いてみたら、踵がボロボロと崩壊したんだよ
＞　あっという間に、両の踵部が無くなったよ
＞　当時は何ともなかったけど、これって、何かあったときに役に立たないって事だよな
＞　（なんて恐ろしい‥ゾッとしたさ）

---

｜裏返り裏返りては秋の波　　　　　　　　　　焼津市・いせぎ会（12-9）

｜裏返り裏返りては尾花渦 通せんぼとは‥鼻すすらされ‥

　＊尾花渦（おばなうず）

＞　‥峠の芒群が風に唸り狂っている
＞　こうも風が強いと、一種の絶景を前にしても‥ただの通せんぼだよ
＞　鼻をすするまでして、早々何度も味わいたいとは思わないよ
＞　（やっぱり芒イメージの人生なんか大っ嫌いだぁ）

1-5)5

｜チュニックに甘えた腹が上下する　　　　　　湖西市・川柳今切れ（12-12）

｜チュニックに甘えた腹で同窓会 あいつもあいつもあいつもか！

＞　‥歳甲斐も無くワンピースというのでは、恥ずかしいから
＞　チュニックを組み合わせて、無難に若作りしている（まぁそれは好い）
＞　しかしあの服装の本質は、タプタプのメタボ腹を隠す為の策でもあったようだ
＞　今から思い返せば、あいつもあいつもあいつもそうだったよ
＞　（青春時代が一気に崩壊をはじめたさ‥同窓会にはあえて出向かないのも青春かもな）




＞　うた詠み終わります、ありがとうございました。