2017年12月21日

【勝手句帳】177 29-12-14/12-15/12-16/12-19 其の1静岡新聞掲載分から

↓6)向宜詠吟.2017/12/21


|冬雀飛び立つ斜線「さぁ行こう」 電線映えの昼間のうちに


 *窓の外の光景から詠む(想像で無く、地で口を衝きつつ詠めた)
 ‥俳句を短歌に漉き込む「漉き歌」を地で詠んだのはおそらく第一号なのでは??
 ‥あれだけ他者のを漉き込んでおいて、地で詠むのは始めてと(通常のペースだとこんな感じと)

> あれはツグミだろうか?‥それにしては家族連れのようだし雀だろう
> 今日は日差しがあるにしても‥12月だ
> こんなにも冬に雀を見かけるのは、珍しいと思うも「はて?」どうだったけ‥
> 電線で一休みしていた7〜8羽の雀たちが飛び立つと、すぅーと斜線が引かれたようだなぁ





|富士向かい大根干しの透け渡る 寒さに沿わずやや薄化粧


 *ひろばの写真「富士山より高く」(12-14)から詠む

> ‥ここ去年辺りから冬の富士山は薄着さね
> 初冠雪からして積もらないからねぇ
> (11月末週あたりから列島に寒波が繰り返していたわりには薄化粧さ)
> 大根干しの透け渡る冬晴れの空と比べると、どうにもちぐはぐさなぁ



1-6)1

|音たてて老いも若きもすすり込むとろろ汁なり秋もたけなわ     藤枝市・巴短歌教室(12-16)

|とろろ汁老いも若きもすすり込むこの一杯や秋の闌


 *闌(たけなわ)

> 秋と言ったら、ここのとろろ汁を食べないと秋が来た気がしない
> 周りを見てもそうだ、この店にはそんなお客が押し掛けてくる
> 老いも若きも、音を立ててすすり込んでいるよ




|生姜漬く手のひりひりとほかほかと    掛川市・句会あさかぜ(12-15)

|生姜漬く手のひりひりとほかほかと かじかむことなどどこへやら


> ‥ショウガを漬けるとね
> 手がひりひりし出すと同時にほかほかしてくるんよ
> 漬物は手がかじかむ作業なんだけどね、ショウガだけは幾分違うんよ


 (*詳しいことはまったくわかりません、あしからず)



1-6)2

|航空ショー秋天一枚使い切る        沼津市・きさらぎ句会(12-15)

|澄み抜けと航空ショーや渦の轟 秋天一枚使い切り


> 秋の航空ショーはとにかく空の透き抜けが良い
> 機体からの水蒸気雲の動きもクッキリとしている
> あの渦巻いて響き渡る轟音にしても筋良く聞こえる
> ‥ああも、秋空を使い切って飛ぶパイロットらは、さぞや待ちかねていたんだろうなぁ




|落葉踏み太極拳の手足伸ぶ         浜松市・雄踏俳句会(12-15)

|楓切る正拳突きや手足伸ぶ 自然体とて呼気する命


> ‥舞い落ちる楓を正拳突きで叩く
> これがどうにも難しく、自然体で手足が飛び出すようになる頃には
> 自然体の捉え方も随分と変わっていたよ

> ‥自分のしたき目標が落ちてくる楓を突くことであれ
> いつ落ちてくるかに注意を削いだところで、他が疎かでは意味が無い
> 向こうもこちらも生きてるんだからね
> ‥為そうとか思っている時点で、すでに不自然てことだから
> 向こうのご機嫌からして心得る必要がある、天候だってそうだ
> 見ようとしている範囲が狭い内は、どうにも自然体どころの話では無いってことだからさ


 ‥君は普段、左右に正拳を突き出すとき
 流れる中央、上下にも視線を向けて、きちんと観察する癖を持っているかね?
 注意に浅いなら大抵見ちゃいないってことだよ
 (見えてくる動きになってこない内は、死角だらけってことだからね)



1-6)3

|忙しなく物干す朝や小鳥来る        沼津市・裸子駿河句会(12-15)

|忙しなく物干す朝小鳥来る メールに返信する間なく


> 朝に洗濯をするのは、太陽の下で乾したいからだが
> すべてを太陽の下でやろうとすると、忙しなくてしょうがない
> そんな最中に小鳥ならまだしも、メールやらコールが掛かると非常に詰まるよ




|夕支度日毎早まり秋の声          沼津市・きさらぎ句会(12-15)

|夕支度秋の顔から刻みだし 大目にしたい茸汁かな


> 秋の夕支度は、夏に比べると俄然やる気が出る
> とくにキノコ汁ともなるとキノコ大目にしたいところだ
> でも、予算がどうにも限られるんだよね


 ‥それ以前の話として‥
 魚なんかは捨てていた深海魚に光が当てられて珍味ブームが起きているのに
 さすがに安全性からキノコはそうになっていない
 (鍋に入れるにせよ、どうせなら珍しいのを試してみたい好奇心は募る)



1-6)4

秋深しフルート聴こゆ池の端        沼津市・さざなみ句会(12-15)

|しじまからフルート澄みし池の端 誰ぞ居るらし散歩の夕映え


> いつもの池周りの散歩コースを歩いていると
> どこからともなくフルートが聞こえてきた(向かい側の岸辺りかららしい)
> ‥夕暮れ時だし学生だろうか‥
> 顔を覗いてやろうかなと思うも、わざわざ見に行くのもなぁ
> まぁ続くようならそのうち鉢合わせするかも(でも秋だしするから、たまたまだろうなぁ)




|ミステリーひた読む夜の虫の闇       沼津市・裸子駿河句会(12-15)

|ミステリーひた読む秋夜闇に声 後ろを見ずにトイレを閉める


> ‥いかん、ミステリー漫画を読みすぎて
> 今、猛烈に暗がりが恐い、振り返るのが恐い
> お陰でトイレに行くのが手間に思える‥(前だけを見て進むんだ)
> ‥なるほど、人生とは‥
> ミステリー漫画を読みすぎたあとのトイレまでの心得と言うことか



1-6)5

|濡れ落ち地を彩るや金木犀        掛川市・南郷桔梗句会(12-19)

|濡れ落つ雅とどむる金木犀 気高きまま無に還るらむ


> 金木犀の花って、雨で濡れ落ちても落ち着きがあるよ
> どこからどこまで気品に満ちてて、気高きまま無に還るというわけか
> ‥なるほど‥
> わらわもあのような高貴な芳香を放ってみたいものよのぅ




秋深む御用邸にある古き椅子        沼津市・さざなみ句会(12-15)

|落葉ざれ庭に置かれし古き椅子 あるじとの日々いつしかの夢


> ‥ここの庭には古い椅子が置かれたままだ
> 落葉だらけの中で、なにを思っているのだろうか?
> 大事にされていた頃の主人との暮らし向きだろうか‥
> (遡って思うに、夏の甲子園などの観戦もあっただろうよ)



1-6)6

|涙呑むクローズアップの日焼顔夏の球児は私を泣かす      藤枝市・文化協会短歌会(12-14)

|すべり込め九回裏や日焼顔 ガッツと涙の甲子園


> 2017年夏の高校野球:全国参加校数は3839校
> ‥涙知らずに駒を進められる確率は、およそ0.026%だったことになる‥
> これでも年々参加校が減っていると言うことだから、昭和ピーク時の確率はさらに低かったと‥
> (絶対的富裕層1%とした数値すら怪しく思えてくる数値だな)
> まぁでも、甲子園参加ということなら1%を超えてくる

> そんな中での勝ちたいがゆえの「すべり込みシーン」は
> なぜかプロ野球なんかより、甲子園の方がずっと頼もしく思える

 ‥そしてすべり込みに関しては1%とか関係ない‥

> ここが不思議なもので
> 諦めない粘り強さに人は同感するようだが
> どうにもその一点にのみ集中している勝利観という奴は、涙の方が多いと言うことだよ

> ‥で、これもまた不思議なもので
> 頑張っても頑張っても涙を呑む人生に支持は無いからね(女房だって逃げていく)
> ‥その証拠に‥
> 無心にすべり込める機会到来は、ホームランと同じぐらいに貴重な瞬間、誇れる姿
> でも、頭からそれの場面を望んで試合に挑む高校球志も居ないと言うことだもん


 ‥静岡大会決勝戦、小雨降り出す中、前半に於いてすでに絶対的な点差が開いていた
 これ以上点をやるまいと、すべり込んでも拾っていたのは、どうにも優勢な方だった

 (勝負だけしか頭に無い高校野球なんて、青春の一コマとして何の価値もねぇ)
 (少なくとも、映像で残るんだから‥後から見てそこに恥ずかしいのって「悔い」ってことだから)
 (大人になってもその流れなら、その程度の人生と社会だろうよ‥否、むしろもっと動かねぇから)




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 11:25 | Comment(0) | 名句にポン/2017後半 | 更新情報をチェックする
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