2017年12月30日

【勝手句帳】179 29-12-23/12-26 其の1静岡新聞掲載分から

↓6)向宜詠吟.2017/12/30

|清流の渦放さ散紅葉          牧之原市静波

|清流の渦掴み散紅葉 里をあとにせず惜しむかな


> ‥帰ってきたんだわアルムの山に
> 見て、あの清流の渦を掴んだままの散紅葉を
> 私の心のそのままだったのを、あらわしているみたいだわ




リハビリの朝きらきらと露ひかり車椅子から立ちて歩きぬ        掛川市・葛の会(12-23)

アルプスの朝きらきらと露ひかり車椅子から立ちて歩きぬ


> 「クララが立った、クララが立ったわ」



1-6)1

|いわし雲スカイツリーに集ひけり       静岡市駿河区石田

|いわし雲富士のとなりに集いけり 穏やかに見え実はせわしき


> ‥何ともまぁ、見事な鰯雲が富士山の横で游いでおる
> こうしてみると、如何にものんびりとしているようにも見えるが
> 秋の雲は変わるのも早いからのう
> 実のところ、人の思い願うのんびりなんて、ちっとものんびりで無いのかものう




冬青空丸まるそだつ新生児          富士市天間

秋高し丸まるそだつ新生児 飢えを知らずに育てたかろうと


> ‥ほう、あの赤ん坊随分と丸まるとしておる
> 随分と大メシぐらいか、やりたい放題な顔だな
> まぁ飢えを知らずに育てたいのが親心という事だろうけど
> ‥どうにもそれって‥
> 良いんだか拙いんだか判断に迷うところだからな
> まぁこちらが無理してあるようなら、それは媚びって事だろうね
> 親が子に媚びたら、そりゃひん曲がるばかりだろうさ
> (でも今の世は、媚びを知らんのも生きづらいばかりだからなぁ)



1-6)2

|アンカーの吾子の力走天高し        富士宮市小泉

|アンカーの吾子の力走天高し あとを駆けてく距離が独創


> ‥吾が子がアンカーと言うことで
> ビデオに収めようと云うことになったのだが
> いざその瞬間がやって来たら、トップを手頃な距離で追いかけていく場面となり
> あとはビデオ冥利のオチが欲しいと、ちょいと期待しましたが
> よく頑張ったと思います



|山茶花に張り付く童かくれんぼ        藤枝市潮

|山茶花に張り付く童かくれんぼ こっちに来よるどっかに行かな


 *山茶花(さざんか)

> ‥なんだあいつ、山茶花の垣根で鬼の様子見かよ
> じゃまぁこっちは、だしに使わせて貰うとするか
> (え、なに、あいつ‥前触れも無く見つかってんじゃん‥やべぇよどうする‥)
> (あんなマヌケの次に掴まるとか、有り得ん)



1-6)3

柿一つ残る梢の空青し             森町鍛冶島

木守りは青空広ごるアンパンマン 鳥は円かを描き去り


 *円か(まどか)

> 木守りの文化とアンパンマンは似ていると思う
> 青空一杯に笑顔を届けようとしていると言うことだからね
> ‥こう言うと聞こえは良いけど‥
> 木守りが成立するには、啄んで行く鳥も必要と言うことで
> アンパンマンでさえ苦労が絶えないからこそ
> 人の暮らし向きも又、相違ないのかも知れませんね

  だから

> 隣人に何かをして上げるにしても、気分第一なら
> 相手にマナーを求めるのでしょう
> そして次第に、お礼が第一に成ってしまうと‥
> ‥いやいや‥
> 啄む方の鳥にならんとし始めるのでしょう
> バイキンマンあってこそのアンパンマンでもありますから




|田舎にも風にあり干大根          浜松市浜北区平口

|田舎には風に美味あり干大根 寒さに飛ばせ青空宿せ


 *干大根(ほしだいこん)

> ‥干し大根とは、沢庵などに漬ける前工程だ
> だから、なによりも空気が澄んでいないと始まらない
> 寒さの中で水分を飛ばすのだ
> 青空を浴びて、より美味しくなってもらうのだ
> 田舎には、そんな風の醸し出す美味がある



1-6)4

|秋空にわあーっと広ごる雀らの近くの電線に一列となり      焼津市・さつき短歌会(12-23)

|秋の田に広ごる斜線雀ども 蹴散らしてこそ画にもなるかな


> 秋の稔りを狙って雀がやって来る
> まったく以て厄介者ということだけど
> 雀に限っては、蹴散らしてやると画になる
> なにぶんにも、雀に限っては
> ‥その数が多ければ、それだけ稔りも大きいという事だからね




|稲刈りや日に日に山の遠くなり        浜松市南区キ盛町

|稲刈りや日に日に山の遠くなり 昔ぞ刈り入れ鬼根性


> ‥昔に稲刈り機なんぞ無かった
> だから稲刈りは、田植え以上に大仕事だった
> 早苗を啄みに来る鳥も居ないけど、稔りともなるとそうじゃ無い
> 刈り入れたならきちんと仕舞うところまでが工程だ(脱穀も手作業だったし)

 その上、日が経てば立つほど、秋の夕日はつるべ落としだ

> さっさとやっちまわないと、おまんまの食い上げになりかねない
> さぞや、昔の人達は体力もあって気丈夫だった事だろう

> そしてその当時、肉はさほど主役じゃ無かった、砂糖も手軽じゃ無かった
> さぞや、根性の付く食い物があったに違いない



1-6)5

|前略と書きてペン置く石蕗の花        島田市中河町

|前略と添えたればこれ石蕗の花 冬の便りに込めし息災


 *石蕗(つわぶき)、石蕗の花(つわのはな)

> ‥冬の便りに「前略」と書くと
> これが如何にも石蕗の花に見えてきた
> (お互いの息災を伝え合うのだからなぁ)




|みちのくの信号は縦冬に入る         下田市四丁目

|みちのくの今朝の縦冬視界ゼロ 吸い付く白さ雪信号


 *縦冬(じゅうとう)‥西高東低の冬の天気。等圧線が東北あたりで縦になる事による地元表現??

> ‥いやぁもう雪で前が見えねぇ、信号機でさえ雪でまっ白だ
> (ここまで酷いんだったら、別の日に来るんだったよ)
> (まったく以て、みちのくの冬はしばれるなぁ)



1-6)6

晩節を穢すことなくバスに乗り友との飲酒を笑いて語る        裾野市・石蕗歌会(12-23)

|晩節を穢すことなく酒林 行く年来る年この一杯

 *酒林(さかばやし)‥酒蔵が酒の仕上がり具合をお知らせする為の杉玉。

> ‥今年もお世話になります
> ここのお酒が無いと正月が始まりません(末永く頑張って欲しい限りです)



|薪の湯や芯ぬくもりし寒の月        富士宮市外神東町

|薪の湯や芯ぬくもりし年の暮 柚子ぞ香れり柚子酒呷れり


 *薪の湯(まきのゆ)、柚子酒(ゆずざけ)、呷る(あおる)

> ‥田舎暮らしと言えば、薪で湯を沸かしたい
> 五右衛門風呂かって?
> いえね、「薪ボイラー」ってのが有りましてね
> 五右衛門風呂の形を改善して、普通に循環式だそうです

  ‥かぁ好いよね‥

> そんなのがあったら、年の暮れには
> 柚子と柚子酒で柚子浸りになってみたいよ

  「え?」

> ‥薪にこだわるポイントが不明だって
> そこにこだわらなきゃ、どこでも出来るって?
> 馬鹿言っちゃいけねぇよ、できそうにない要素を加えないと夢気分にならんでしょ
> 風呂と言ったらねぇ、ちょいとした夢要素が大事なのよ
> (どうせ湯船で酒にしたって、無理がたたるんだからさ)




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 20:36 | Comment(0) | 名句にポン/2017後半 | 更新情報をチェックする
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