↓5)向宜詠吟.2018/04/11
|灯を消して闇うつくしき朧の夜 沼津市・片浜松風句会(3-30)
|朧闇うれいを拡げ羽化ぞ立つ 迷い捨つるがうつくしき有為
*朧闇(おぼろやみ)‥朧夜。おぼろ月の夜。[春]
*有為(うい)
> ‥朧闇の下で蝶の羽化が始まった
> こちらから見ていても、「頑張れ」とか思っちゃうほどだから
> それなりに心細いところもあるのだろうな
> 斯様にも繊細にあればこそ、あのような見事な翅を拡げるのだろうな
まさに
> 迷いを捨てて、ギリギリを行くが如しが有為の心得ということよのぉ
|朧闇うれいを拡げ羽化ぞ立つ 天真纏ううつくしき初
*纏う(まとう)、天真(てんしん)、初(うい)
> ‥店のオススメということで、そのおなごを乞うてみた
> (一目、俺の好みだ‥わかってるじゃねぇか)
> なんでも今宵が初めてだという
朧闇の中で、ためらいながらも纏う着物を脱ぎ降ろした姿が実に好い
> そのまま、いつまでも変わらずにそのいでたちを保って貰いたいところだが
> さてさて、その先のことなんか分からんからなぁ
> ‥今食わずにいつ食うんだよ‥
1-5)1
|春光や声張り上ぐる草野球 SBS学苑パルシェ教室俳句(3-30)
|「バッチ来い」春の光や打球音 飾りじゃ無いぜ外野守備
> ‥陽気が暖かくなると
> 草野球の掛け声もまた輝いているように思える
> 外野に打球が飛んで、ファインプレーを見せようなら
> 益々以て、春の光だなぁ
1-5)2
|手造りの一輪挿しに梅一枝ふくらみ香る北の窓辺に 沼津市・萩の会(3-31)
|けふ昨日一輪挿しの梅一枝 ふくらみ香る東の窓辺
> ‥つい先日、梅を一枝
> 頃合いに思い、一輪挿しにしておきましたところ
> 東風思わす窓際にて
> 先駆けの蕾が一つ二つひらいて、芳香を放っていましたよ
|老い先のことなど言はず種袋 沼津市・片浜松風句会(3-30)
|老い先の先は問わぬぞ種袋 命を蒔きて見届けられずと
> ‥今年も又春が来たな
> 老い先わからねぇおらのやることは今更変わらねぇ、変えられねぇ
> だから、種袋の種を見る度に、いつも同じことを語り掛けることがある
「おらの方が先にくたばっちまって、お前さんらの収穫を見届けられなくても勘弁な」
1-5)3
|島の子は二人ひとりが卒業す 静岡市・清風俳句会(3-30)
|卒業し二人ぼっちがアラぼっち 点呼は一つ島の学校
> ‥二人だった島の学校
> 一人が卒業してしまい、わたし一人になってしまいました
> 新入生も居ないので、随分とさびしくなるなぁとしょげていましたが
> その日、自分の名前に、改めて救われた気がしました
‥それでは出席を取ります
「島 くに」さん
> 「はい!」
1-5)4
|陽春をキラキラ浴びてはしゃぐ子等 浜松市・浜松川柳クラブ(4-3)
|陽春やキラキラ渡るランドセル 横断しきりお辞儀が一人
> ‥今年もまた新年度が始まった
> ピカピカのランドセルが横断歩道を渡っていく
> その中にひとり
> 渡り終えてから、振りかえり、お辞儀をする子が一人いると
> 随分と微笑ましく思うのはなぜだろう?
(きっと春ゆえに、期待するところが大きいからだろうなぁ)
|炎帝をギラギラ浴びて旗下る児ら「だらしないぞ」と語るも昔
*旗下る(まいる)
> ‥今どきの夏の日差しはとにかく暑い
> ‥今時の子は昔と比べると体力が弱い
> 言ってしまえば、この二つの反比例に不思議は無いにせよ
> 昔とを比べても弱音を吐く声は多くなったのかも知れないな‥
しかし
> 「だらしないぞ」と続けざまに頑張らせる前に
> 休ませる気遣いをしないと、それこそ一人二人と逝ってしまうからなぁ
> へばっているぐらいを‥可愛いと思ってなんぼなのだろうなぁ
|秋陽にギンギン歌う下校道 暮るる林に仲良し二人
> ‥秋の下校時、声高々に歌声が聞こえる
> 林の向こうからだ
まるで
> いつもの仲良し二人組が、歌い通る帰り道に、秋の夕日が待っていたみたいだなぁ
|冬日浴びギチギチ詰めろおしくら饅頭 腕白ぞろいの休み時間
> ‥ああ、昔は随分とやってたかもしれないな
> 冬日の中でのおしくら饅頭
> 腕白がこぞって、休み時間に温まろうと
> 手軽に体を寄せ合うということだけど
> ああ言う光景は、それこそ子供のうちだけだからなぁ
1-5)5
|寝ころべば乗りませんかと春の雲 浜松市・浜松川柳クラブ(4-3)
|寝ころべば乗りませんかと春の雲 見晴らし咲かせる観覧車
> ‥平日に、家族サービスで遊園地にやって来た
> ぐるぐる回る乗り物につきあってみれば、思った以上にしんどい
> ベンチでひっくり返っていると
> 春の雲や観覧車が、俺を呼んでるように思えてきて仕方がない
(そうだな、一つ乗るとするかぁ)
|春田べりゆっくり止まる園のバス SBS学苑パルシェ教室俳句(3-30)
|春田べりゆっくり止まる園のバス 往き来の子らに沿うチューリップ
> ‥待ち合わせは田んぼ沿い
> 住宅が並びだしているそこでは
> 春がてら、園のバスが殊更にゆっくりと止まる
随分と気をつかっているようなブレーキ音である
> 賑やかそうな園児の乗り降りを飾るように、近くにチューリップが並んでいたりすると
> それはもう、随分と印象的に見えちゃうんだから不思議だよなぁ
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
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