2018年06月17日

【勝手句帳】221 30-6-1,2,5 其の1静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2018/06/17

|万緑に座して男の孤独かな        富士宮市・湧本部句会(6-1)

|万緑に座して男の語り酒 酔うほど吟る一句のそよぎ


 *吟る(しなける)‥ここでは、叫びたいぐらいに言葉が次々と口をついてでるぐらいの意。

> ‥風光明媚な山の上で酒を汲み交いながら詠み上げたい
> という予定でやって来たのだが、人だかりがやはり多い
> 空もいまいちだし、ここは計画を練り直して出直しすることにした

 (大体いまや観光推進のご時世だし、そんな都合に合致した山なんてあるのだろうか?)

> ‥詠む以前からして、吟味した甲斐あって
> 漸くに今、待望の万緑を前にしている‥もとい語り酒だッ‥もとい湧き来る詩吟だッ




|夏富士の泰然と世の移ろひぬ       富士宮市・湧本部句会(6-1)

|肌着脱ぎ雲そよがせり富士薄暑 禊ぎに忙し梅雨を招きぬ


> ‥富士もようやく雪衣を脱いだか、いよいよ以て薄暑の時節の到来だ
> 当然、上昇気流に雲もそよぐというわけだが
> 日本では、高い山ほど禊ぎに関心があるのだろう
> (だからだろう)梅雨を招くという事だろうなぁ


 ‥プレートに押し出されると山の高さが上昇する
 雨が降らないでいると、山々の姿形がすっかりと変わっちまうらしい
 まさに日本の雨の豊かさは、日本の山々にとっての禊ぎの水だ

 (逆を言えば、プレート圧が小さい土地に雨が多いと住みづらい地形と云うことになる)
 (それ以前に、山が低いと上昇気流が弱く雨も弱い‥ゆえに広範囲に水を確保しにくい)
 (ならば、小分裂の大陸移動の山に雨が多いと圧力が片側に寄るわけだから生態環境が激変だろうな)
 (日本列島がプレートに挟まれて多雨にあるのは、まさに、四季を維持する為のメカニズム)
 (それってどうやら‥グローバル経済に押し出される民族が味わう汗と涙と情と感性の鏡似性??)


|遠かりに泰然とあり富士銀暑 近くに寄れば大沢崩れ


> ‥夏晴れに見る富士山は、暑さをものともせずに泰然としている
> しかし遠目にはそう見えても、近くによると実はそうでも無い
> 大沢崩れという痛々しさが偲ばれるのだ
> ‥何であろうと‥
> 満身創痍だからこそ泰然としているように見えるのかも知れないなぁ


|夕映えに悠然とあり富士金暑 明日にひたむき聳え立つ影


> ‥夏の夕日に映える富士山は、如何にも堂々として、悠然として見えるなぁ
> 明日にひたむきだからこそ、そびえ立つ影もますます以て迫力を増すのだろう
> (炎天下での昼時の姿が銀暑なら、夕映え時は金暑だなぁ)



1-5)1

|錆色の廃線遥か野蒲公英          沼津市・きさらぎ句会(6-5)

|錆色の敗戦はもう野蒲公英 鉄降る雨も飛び交う風も


 *野蒲公英(のたんぽぽ)

> ‥産業革命は鉄道より始まった
> 鉄道が登場した背景には、死の商人の思惑がある
> 弾丸と兵隊をスムーズに運ぶのが、最たる狙いだったのだろう

 ‥そんな軍国時代のレールは、今や錆色と化し、野蒲公英に包まれている‥

> 鉄の雨が降り注いだ記憶も、弾が飛び交った戦場の記憶も
> 多くを失った悲しみも薄れてしまったかのように‥




|忽然とあらはれ消へし夏帽子        浜松市・いたや句会(6-5)

|忽然とあらはれ消へし夏帽子 火垂るトラウマ未だむせべり


> ‥未だにふと思い出すのは
> 忽然と現れ現れ、焼夷弾を落としていったB29に因る惨状だ
> あの時の夏帽子の影が、どうにも悼まれる


 ‥どれだけの国民を、人民を、殺戮したのだろう
 あのUSAという国は‥
 それと比べれば北による拉致被害者の数は無きに等しい

 なのに‥無い無いにしてお付き合いしているのは、その大殺戮国家とである!!

 ‥北の姿勢を
 無い無いにできないとして対立意識剥き出しのままは、あまりにも国策にはほど遠い
 まさに見る「死ニ方用意」の叫び声を上げて猛り狂う陰謀だよなぁ


> 憲法九条の精神からすれば、明らかに違憲に値しよう
> 「和平が二の次の政策方針は違憲である!」


 ‥日本国民の安全保障‥という錯覚を抱かせての
 「おもちゃ代カツアゲ劇場」は、もはやうんざりである



1-5)2

|春の四方の花園名残惜し再会約し見送りにけり           御前崎市・浜岡短歌会(6-2)

|友と駅「四方の紅葉、花の頃」再会約し汽笛は発ちぬ


> なぁ、おい、本当に良いところだよなぁ、駅周りの紅葉が最高だよ
> まぁ景色だけはな
> じゃ、春にまた来るから
> ああ‥サクラか、待ってるぜ



|満開の見事に降りる友が駅 出迎えたのは私か里か


> よう、相変わらずそうじゃないか
> そっちもな

> それにしても、満開だなぁ
> ああ、満開だよ、まるで測ったようにやって来たよな
> 測ったに決まってるじゃないか、あはははっは

> とりあえず、今ここで花見酒やろうぜ

> 「はぁ☆」正気かよ!?
> ほぼ無人の駅だし、問題ねぇだろうに
> 気乗りしねぇなぁ、それって「モラル無き撮り鉄」並だぜ、お前は良いけど‥俺、地元だよ
> なーに春だし、降りないお行儀真面目より、降り立つやや呑兵衛だろうに「さぁ飲もうぜ」




|満開の桜のトンネル抜け出ればひらひらと舞う風花が待ち       御前崎市・浜岡短歌会(6-2)

|花風の花道くぐり風花や 二つの雅吹々き交う空


 *花風(はなかぜ)‥花びらが風に舞う様。
 *風花(かざばな)‥晴天に雪が風に舞いちらちらする様。

> ‥満開の見事な花風吹く花道をくぐっていると
> なんと、よく見れば、風花が交じり始めていた

 (通りで、晴れてる割に肌寒いと思ったよ)

> ‥二つの雅が空で行き交っている‥(こんな花見もあるんだなぁ)



1-5)3

退院に厚きベッドの備えありその温もりに昼夜つつまる        御前崎市・浜岡短歌会(6-2)

|冬越えを慮るや落ち葉あり その温もりに昼夜つつまる


 *慮る(おもんぱかる)

> ‥冬眠する獣たちにとって、落ち葉は必需品
> 体毛と脂肪と落ち葉だけで、厳冬の寒さを凌いじゃうってんだから
> そりゃ、温かいんだろうね(少なくても、除湿と保温のバランスは良さそうだ)


 ‥シロクマなんかの体毛構造については聞くけど
 ‥落ち葉のナノ構造については、まだ聞かないなぁ(是非)

 (きっと脂肪の燃焼が適度になるように温まるんだと思う)
 (寝汗が酷いようじゃ、脂肪が燃えすぎて、春までに不足しちまいそうだからなぁ)




|コンクリート割れ目にすみれ花をつけ三寒四温に耐えぬ身励ます  静岡市・長田寿短歌同好会(6-2)

|風の中コンクリ割れ目にスミレ立つ 三寒四温ものともせずに


 *三寒四温(さんかんしおん)

> ‥なんとぉ、コンクリートの割れ目から、スミレが咲き出ていた
> しかも時節は、まだまだ三寒四温にもどかしき風の中

> ‥なんというたくましさだろうか
> たかだかスミレなどと侮っていました(すまん)




|山越えの風爽やかに春来たる鳥は囀り野辺に草々           御前崎市・浜岡短歌会(6-2)

|啓蟄のぽかぽかと吹く山渡り 鳥は囀り草花は伸ぶ


> ‥春だなぁ、時節も啓蟄だし
> ‥ぽかぽかだなぁ、晴れてるし
> こっちとらも、小高い山くんだりまで足を伸ばしてきた程だからなぁ
> 芽吹きがあちこちに見えてて、鳥は囀ってるし、草花もちらほらと伸びてるし
> 春の山渡りって感じだなぁ



1-5)4

|若きより春好む吾は浮きうきと外出先をさがす昼さがり      静岡市・長田寿短歌同好会(6-2)

|春の昼吾はうきうき野辺ぶらり ルーペ片手に新種を探す


> ‥云いかね諸君
> 世の中の植物学、細菌学、昆虫学なんてのはね
> 春先になるとぽかぽか陽気に誘われて、ちょっと変わったおじさんが
> ルーペ片手に野辺をうろつくところから始まってるんだよ

> どうだね、君も、ルーペ片手に春に怪しいおじさんに変身してみては?
> なんだて??‥野辺が無い‥こっちが新種の変態扱いされちまうって‥

> そうかぁ(そうだなぁ‥)

> ‥そうそう君ね
> うきうきとした好奇心より羞恥心が勝ってるようじゃ大成しないよ
> さらに、生きものに興味が無いって、死んでる人生だから
> デスクワークだけの人生なんて、考え直した方が良いよ




|禿山の天辺を撫づ春の雲          焼津市・矢車俳句会(6-1)

|脱毛のてっぺん撫づる春の雲 だいだらぼっちのストレスを問う


 *禿(はげ)、撫でる(なでる)

> ‥だいだらぼっちに円形脱毛症は有っただろうか?
> なーんて、禿げ山の上を行く春の雲を見ていたら、空想してしまったよ



1-5)5

一人居る夫入院の小さき家この静けさを広さとまがう       静岡市・長田寿短歌同好会(6-2)

入院を送り朧や一人箸 静けさゆえか広々として


> ‥夫の入院を見届けたその日の夜
> 一人で食べる居間での食事が、静かで広々と感じてしまうのに驚いた
> その違和感を和らげようと空を見上げても、朧に有るばかりで、いささか不安がこみ上げてきた
> (夫が居なくなると、一気にこげな毎日かと思うと、尚更に無事を祈らざるを得ないのだった)




|柿若葉広ごり初むる朝庭の静寂を鴬の冴えくる音色        静岡市・長田寿短歌同好会(6-2)

|柿若葉広ごる庭に朝届く冴えくる静寂老鶯の風


> ‥柿若葉の時節だ
> ちょっと広めの庭に有る柿の木々もだいぶ青々としてきた
> そんな朝
> 静寂の中から冴え渡ってくる鳴き声が届いた
> ウグイスだ(この時節で言うと老鶯だ)
> (やはり、住むなら街寄りより、山寄りに限るなぁ)




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 16:54 | Comment(0) | 名句にポン/2018前半 | 更新情報をチェックする
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