2018年07月05日

【勝手句帳】224 30-6-15,16,19 其の1静岡新聞掲載分から

↓6)向宜詠吟.2018/07/05

花おえて賑わいも去り花は葉に深い緑に木洩れ陽光る       三島市・銀杏樹の会(6-16)
花散りて木々の若葉は萌え出でぬさみどり色の風孕みつつ     浜松市・アカシヤ短歌会(6-16)

|風孕む木洩るる若葉 鳥の声 惜しむ時節を包みこむらむ


> ああ、すっかり散ってしまったなぁ、今や若葉だなぁ
> 鳥の声まで初夏めいている
> ‥毎年のことだが‥
> そよぐ風と木洩れ日が
> 花の時節を惜しみ、とらわれ、なげいている場合では無いとばかりに心地よい
> (どうしてこうも‥四季移ろいの癒やし度は高いのだろうなぁ)


 ‥人だけが季節の変わり目を惜しみなげくのは、文化と言うより症候群だよなぁ
 ‥まぁ症候群と文化色は、切り離せないという事だろうけどね



1-6)1

生いしげる木々ゆたかなる我が庭とおりくる風頬にやさしく    御前崎市・浜岡短歌会(6-16)

庭青葉 午後のくつろぎいざなって カップに注ぐ香り舞ふらむ


> ‥自慢の庭、手塩に掛けた庭
> 青葉に吹く風と共に応えてくれるとじつに午後のティータイムが楽しみというものだなぁ

> ‥この青葉撫でるような風に、漂い広がる紅茶の香り立ちが最高だ
> しかし、どうしてこうも飽きないのだろうな


 (そりゃ、庭も茶葉も常に変わりゆくからなぁ、飽きない工夫をしてこその自己満ありきだよ)
 (手入れを前提にしないただの欲しがりは、それこそ馬鹿のつく文化だからな)




|手縫い服流行の型でないけれど思い出連れてそっと着て行く     御前崎市・浜岡短歌会(6-16)

|夏ワンピ手縫ひに詰まる憶ひ着て 会ひたき土地に一人越し暮れ


 *憶い(おもい)

> ‥衣替え整理をしていたら、いつしかのワンピースが目に止まった
> 手縫いで編んだ記憶を辿る内に、懐かしさのあまりその頃を探しに旅に出た
> かつて訪れた土地に着いてみれば、変わらぬ夕暮れに出迎えられた気がしたのよね
> (それだけでも、来た甲斐があったかなぁって思ったのよね)



1-6)2

|飛来する数羽のツバメ鳴きながら「今年も来たよ」と低空飛行     三島市・銀杏樹の会(6-16)

|ツバメ啼く低空飛行 里久し 植田の景を数えてまわる


 *啼く(なく)、景(かげ)

> ‥ツバメだって訪れた時には、その景色の懐かしさに啼くのだろう
> うれしさのあまり、あちこちを見て飛び回るのだろう

> 私たちにしてやれることと言えば、ガッカリしないように緑を絶やさない事だろうけどね
> 私たちでさえ残念に思う変わりように、ツバメだって低く飛ばざるを得ない世相なんだろうよ




|岬まで峠はいくつ夏落葉          沼津市・万年青大学「俳句A教室」(6-15)

|岬まで峠の数に汗し風 ペダル踏み込む青の見晴らし


> ‥岬まで行くのに、起伏が多いと大変だが
> 敢えて汗を掻くには持って来いである
> 自転車を漕ぐスピード感が
> あお(緑)、あお(空)、あお(海)の一幕を呼び覚ます



1-6)3

流れ出る汗も気にせず野良仕事       静岡市・健寿会川柳同好会(6-19)

|思春期や汗を手にせず野良の草 引き抜きたくもせがれは逢瀬


> なぁ母ちゃん、ここのところせがれが野良の手伝いに来んが、やつはどうないした?
> やだねぇ、あんた知らんの、彼女ができてお熱なんだよ
> ほう、そんな話はじめて聞いたべ

> どうよ母ちゃん、おら達も負けずに野良で思春期やらねぇか?
> やだねぇ父ちゃん、野良でやるなら飯のあとずら

 (なんだい、母ちゃんもまんざらにねぇなぁ)




ケロケロはりつく雨蛙        掛川市・草の実俳句会(6-19)

|オスガエル雌にやりつく畑に声 お盛ん夫婦こいなかの艶


 *こいなか(こ田舎、恋仲)

> やっぱり、こういう時にへんぴな田舎は好いなぁ
> やだねぇあんた、最近じゃどこに観光客の目があるかも分からない時代だよ
> へへへ、だども、飯時にほっつき歩いてる変わりもんもいねぇっぺよ




紫陽花も色とりどりと珍しく        掛川市・草の実俳句会(6-19)

七変化 肌ところどころハリ落とし 若げのヤリは這ってでもしろ


> ‥それにしても、互いに歳だよなぁ
> やだねぇ、こんな時になに興冷め云ってんのさ

> いやぁ、だからさ
> ヤルなら若い内に記憶に擦り込ませるぐらいに頑張るべきだよなぁってさ
> おら‥もう少しヤル方に精を向ければ良かったかなぁなんてさ

> まったく父ちゃんてば、いけずなんだからぁ



1-6)4

|河鹿鳴き夜のしじまに響きけり       掛川市・草の実俳句会(6-19)

|河鹿鳴く夫婦の夜のまぁ元気 見飽きぬ谷間ここがふるさと


> ‥「なぁ」、男には女の肢体への倦怠期があるってのを知ってるか?
> 「なぁにそれ?」聞いたことないけど

> ぶっちゃけた俺なりの観察によるとだなぁ

> どんなにエロにほだされてようと、結局は、女の上を這いずり回るのが男だよ
> 寝ても起きてもその扱われように、プライドはズタズタ、いつしか興冷めになっちまうわけだな
> そうにならない為にも
> 男ほど、品定めの目というより‥バリエーションへの執着は大きい

> 擦り込まれた本能や形での好き嫌いを打破したいと思ている馬鹿ほどそうなる
> 別にそんなの気にせずとも、恋愛は時の流れに従わざるを得ない部分の方が大きいのにな‥
> そこを納得できないとばかりに、まずはバリエーションの程度を理解しようと試みるのさ


> 「やぁねぇ」変な話持ち出して、まさか別れ話の振りのつもりじゃないでしょうね?


 ‥女にもあるだろう生理的に受け付けないってのが‥

> ‥なんだかんだと紆余曲折しながら
> 大抵は自分の好きな形にめぐり着く、そこに自覚の有る無しが、男の性のレベルと言えるわけだな‥

  その脇で、バリエーションの多さに溺れて流されれば
  愛情へのモチベーションを得る為のバリエーションの確認だったはずなのに
  いつのまにやら、快楽か刺激かの‥鬼畜かヘンタイか‥に成り果てる

> ‥それでなくても
> 見知らぬバリエーションを目にしては、その度に、自覚が揺らいで興冷めしちまうんだからな
> 見積もり不足を突きつけられちまうってのは、兎に角、敗北感が大きい


> ‥「ちょっとねぇ」ほんとにそれどういうつもりで私に話してんの?


> しかしだなぁ‥どこから見ても見飽きぬ谷間を見つけられたやつは
> そこを一生の住処にしようと精を尽くすわけだよ
> なにしろ、そこにある眺めのすべては、故郷の光景に等しいわけだからな
> 是が非でも、毎日眺めていたくなる、這いつくばる上でのプライドが邪魔にももたげることもない
> どんなにくたくたになろうとも、手入れをせずにはいられない元気が湧いてくる

> 「ふーん」まるで今度は自慢話じゃない、で、どっちなのよぉ?

> どっちて‥こんな野暮な話の流れで、プロポーズもどきさせんなよ



1-6)5

|おんぶして覗いた鏡笑みふたつ       浜松市・浜松川柳クラブ(6-15)

|おんぶして覗いた鏡笑みふたつ 記念に一枚欲しくも忙し


> ‥お出掛けしたくの際に、幼子を背負うのはなにかと手間だが
> おんぶした姿が姿見に映るのを見ると、そこには笑顔が二つ並んでいた
> 記念に一枚のシャッターチャンスが欲しくも、そんな暇なんてない

 (インスタ映えにも、自動撮影してくれる姿見が有ったら好いのになぁ)




|土を掘り跳ねるミミズも友として陽光のもと苗植える日々       三島市・銀杏樹の会(6-16)

|五月畑うねるミミズと苗を植う あとは雨待てけふの踏ん張り


 *植う(うう)

> ‥知っとるけ?
> GW辺りともなると農家にとっちゃ、苗の植え付け時期だよ
> その頃にもなると、ミミズの活動も活発さね
> ミミズに苗を育ててもらってんのかもねぇ

> ‥植えちまったあとは、そりゃ、雨待ちさ
> おらっちの頑張りだけで作物が育つとか‥そんなわけねぇっての
> それでもまぁ、収穫に向けたセッティングばかりは、人が踏ん張らねぇと始まらねぇ

> 何だって、スタートラインに乗せるまでがひと汗だかんな



1-6)6

|晩学の句会のや古茶新茶         静岡市・船越俳句会(6-19)

|甘党の句会のおとも古茶新茶 茶柱立てば目の保養とな


> ‥うちらの句会に、茶と茶菓子は欠かせない
> しかも静岡市民の茶へのこだわりはものすごく
> 皆でお菓子どころか、茶まで持ち寄る有り様さ
> その上、馬鹿の一つ覚えにも、茶柱の話題は尽きないんだなぁ




|抱えらるる嬰の大泣き夏空へ        沼津市・ひこばえ句会(6-19)

|あれはいつ嬰の大泣き夏太鼓 それが今や桴の殿堂


 *嬰(えい)、桴(ばち)

> ‥あれはいつだったかのう
> あの子がまだ赤ん坊だった頃、夏太鼓の音に大泣きしたっけなぁ
> それが今や見事な桴捌きを披露する腕前なんだもんなぁ
> (まぁ知る人ぞ知る裏話だけんどな)




> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 10:19 | Comment(0) | 名句にポン/2018前半 | 更新情報をチェックする
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