↓7)向宜詠吟.2018/07/11
|放牧の牛の一声雪解富士 富士宮市小泉
|牧場風 蒼尽く富士と牛の声 ミルクの渦巻きほお張りね
*牧場(まきば)
> 折角、富士山の見える牧場に来たんだから
> ミルクの渦巻き(ソフトクリーム)食べてくんモー
|浸みでるやたちまち滝と迸ばしる 清水町・清流句会(6-26)
|浸みでるや滝汁ほお張るハンバーグ このボリュームは夏のスタミナ
*迸る(ほとばしる)
> 折角、真夏日どまんなか日和なんだから
> スタミナさ点く「ハンバーグ滝汁」食べてくんモー
1-7)1
|祈りよりはじまる朝よチューリップ 伊豆市土肥
|祈りよりはじまる朝よチューリップ 多くの方の幸浮かぶ庭
*幸(さき)
> ‥チューリップの早朝庭園(掃除)はじつに清々しい
> なんだか多くの方の幸せな様子が浮かんで来るようだ
> どうにも、祈らずには居られなくなるんだよなぁ
|富士川の富士より来たる水涼し 吉田町住吉
|富士山の頂きよりや湧くる涼 水分仰ぐいついつまでも
*水分(みくまり)
> ‥今日もコンコンと清水が湧いておる、じつに清涼だ
> ああ、あの頂きよ
> 富士を始めとした嶺々から地下を経て‥今ここに、水たる息吹が届くのだ
> 未来永劫ずっと涸れずにあって欲しいものよのう
1-7)2
|空青く澄み渡りけり五月富士 浜松市浜北区中瀬
|空青く澄み渡りけり田植富士 うらやましくもおらさの田んぼ
> ‥今年も田植の時節がやって来た
> おらの田んぼからは富士山が絶景ずら
毎年毎年の見事な五月晴れになると田植がしたくなる
> ‥そりゃそうだんべ
> こんな天下の絶景の前に田んぼさ与えられて
> 受け継がないなんてバチが当たるずら
> おらが一番に「田植好き」だって、ご褒美以外のなにものでもねぇ
|田水張りお岩木山を映しけり 牧之原市・静岡白魚火会(6-26)
|田水張りお岩木山を招きけり 俄然に映ゆるより親しげに
*お岩木山(秋田)・田植え:画像検索
> ‥お岩木山の見える麓の田んぼでは
> 田植の時節に水を張ると、お岩木山がどーんと近づいて来る
> 逆さお岩木山は、立派にも親しげなんだな
1-7)3
|父祖の畑耕し続け八十年今だに硬し地球の皮は 藤枝市築地
|この国の悪しきを語るテレビ消し空見あげれば雲ひとつ無き青 森町鍛冶島
|テレビ消し空見あげれば夏一つ 地球の皮はどこまでも青
> ‥テレビを消して、外の空を見上げてみれば
> そこには、夏が燦々としていた
> こんなにも夏だったとは、甲子園とは何だろうな
(まぁあれも夏の一つだけど、空なんて見上げちゃいない、見ているのはテレビの画面だよ)
> ‥野球とは云え、あれだって争いだ
> こうして改めて夏を見上げてみると、地球の皮は青いんだなぁ
> この青さで繋がっているのが地球と云うことだよ
(どうにも人類が争いを止められない青二才なのを表しているようでもあるなぁ)
|嬰児の小さな欠伸木々芽吹く 牧之原市・静岡白魚火会(6-26)
|紅葉手に小さな欠伸ベビーカー 夕日の差してパラリと寝落ち
*欠伸(あくび)
> ‥うちのベイビーが紅葉に興味を示し、ベビーカーの中でも離さない
> かわゆく欠伸をしつつもまだ離さない
> そんな帰り道
> 夕日が差してくると、何やらパラリと落ちた
> ベイビーは寝落ちていたさ(パシャリ)
1-7)4
|嫋やかに一山揺るる竹の秋 静岡市・葵句会(6-26)
|嫋やかに裏山揺るる竹の秋 吹かるる風は子宝の夢
*嫋やか(たおやか、しなやか)
> ‥裏山の叢竹がよう揺れておる
> ああも春風に身を任せて、尚、倒れぬ姿を見ていると
> こちらにも感じ入るところがある
> ‥竹の秋よのう(筍の時節だ)
> こちらも同じく子宝を案じて待つ身よ、多少の風など撓(しな)ってこそよのう
|筍や十二単を重く着る 焼津市・浜風句会(6-26)
|筍の十二単にかぐや姫 脱がして煮ればちっぱい赤子
*筍(たけのこ)、十二単(じゅうにひとえ)
> ‥筍という奴の見た目は
> じつに目方があるように見える
しかしどうか
> 外側の皮を剥くのは単に煮やすくするぐらいの要領で
> そこから煮たとて、煮た分をすべて食べられる訳ではない
> 食べられるのは、さらに煮た外部分を剥いで‥身の内側の白い方だけだ
ぶっちゃけた話、竹の中から「かぐや姫」ぐらいに目方が減るんだよ
1-7)5
|蛙鳴く夜半の小径の静寂かな 静岡市・葵句会(6-26)
|蛙鳴く棚田の畦に宵の風 跳ねる恋慕に急ぐ旅足
> ‥旅途中、こうして宵の棚田を見やりながら休むこともある
> 蛙の鳴く時節になると賑やかだ(退屈しなくて好い)
> おや、蛙が跳ねよったか
> そろそろ行かんとのう、こちらも待たせる身のある風よ
|七変化濡れて寂しき昨日今日 清水町・清流句会(6-26)
|七変化濡れて寂しき昨日今日 火照る身体をもてあそばせて
> ‥雨の季節になると、どうしてか退屈さが増すのよネん
> それが募ると今度は身体が火照ってくる
> まったく、こういう時に限って、男衆が来やしない
> こっちとら、雨に濡れきった紫陽花だよ
1-7)6
|草分けて又一人来る山女釣り 牧之原市・静岡白魚火会(6-26)
|草分けて又一人来る山女釣り 釣って饒舌ぼうずの無口
*山女(やまめ)、饒舌(じょうぜつ)
> ‥こんなへんぴな山奥のポイントだというのに
> よくもまぁ、次から次に山女目当ての物好きが来よるわい
(さしもの儂もその一人じゃけんな)
> ‥物好きの性格がこれまた似通っておるけんのう
> 釣り上がれば饒舌に話しかてくるけん、ぼうずなら避けるように無口よ
じゃけん、ぼうずで話しかけられて振り向くとしたら、帰り際のお裾分け期待よのう
|露地奥へ一声掛けし金魚売り 焼津市石津港町
|路地奥で金魚金魚の途絶えけり なにかと追えば客と酒酌む
> ‥あーあ、あの金魚屋けちくせぇよなぁ
> 金魚見てるぐらいただで好いじゃねぇかよ(まったく)
> 「あれ?」この先の路地に抜け道なんか無いはずだけど‥
> 売り声が止んでんなぁ(なんだろう?)
> なーんだよ、金魚屋の爺さん、なじみ客に勧められて酒を酌み交わしてやがる
> (しめしめ、思いっきり金魚を眺めていられるぞ、ラッキー♪)
1-7)7
|芽吹く音聞こえて来さう山毛欅林 牧之原市・静岡白魚火会(6-26)
|芽吹く顔ふり向いてくるブナ林 進み入るほど春の足音
*山毛欅(ぶな)
> ‥久しぶりにブナ林にやって来た
> ガキの頃にしょっちゅう来ていたはずだが(はて?)
> 春先の芽吹きのブナ林には憶えがないなぁ
> ‥なんだよ、ブナ林を歩く度に芽吹きが振り向くように飛び込んでくる感じだなぁ
> まるで、俺の足音が春の足音だ
(これは好い、虫を捕るよりずっと気が利いている)
|磨かれし馬の引かるる若葉風 浜松市浜北区平口
|磨かれし馬の引かるる若葉風 鞍から詠みたる師に添う旅路
> ‥さてさて、先生がもぞもぞと筆を取りだしているぞ
(丁度好い風に、若葉見上げる道沿いか‥何をどう詠まれるのだろう?)
> ‥それにしても
> 磨かれて引かれて行くのは馬だろうか、それとも鞍の上の先生だろうか
> いやいや、謙遜することは無い、師の旅に付き添ってる末弟子の私だよ
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
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