↓6)向宜詠吟.2018/09/02
|故郷の空深閑と富士灼くる 富士市・富士かりがね句会(8-24)
|凪灼くる富士の威容と沼津松 海岸沿いの暮らしの絆
*凪灼くる(なぎやくる)
> ‥風が凪いできたな
> 見上げれば、富士山に夕日が差していて
> その御姿にも威容がましておるなぁ
まるで、沼津の海岸沿いに連なる千本松原の祈りの如しだよ
‥かつて
沼津の海岸一帯の松原は村民の手により形成されていた(塩害予防の防風林)
ところが、山暮らしの潮風に無知な武田軍が侵攻してくると
何も知らないもんだから、すっかり伐採しちまったという(山猿ぶりだよなぁ)
その後
高徳な僧の手により復活を遂げたという事だが
以来ずっと、この千本松原辺りの住民は、権威に対して冷ややかな眼差しだ
その牽制は、今や、鉄道高架の反対運動に結実している
(コンビナートも新幹線誘致も反対だった)
これこそが、地域の結束パワーの証しなのだろう
‥そもそもにして
富士山が見えなくなる壁を築かれてたまるかってんだい!!
相模大野の駅もどきが「数q」に及ぼうなんざ、キチガイもキチガイの沙汰だよ
かなりの範囲で、故郷の景色が消されちまうってのは、3D映像にするまでもない
「なにが利便性だよ、不幸の押し売りだろうが!」
(川勝県知事の富士山推進と真逆なのに、未だ誰もツッコまねぇ)
(真逆と言えば、ふじさんミュージアムの建物に表現された形でもあるからなぁ)
(ずばり、ふるさと何チャラとは建前で、本音が「カネ儲け」にしかないんだろうなぁ)
|凧無数右往左往に灘を曳く 浜松市・白魚火梧桐句会(8-24)
|灘尽くす凧揚げの声 風を超え 夢は大きく元気は高く
> ‥遠州灘海浜公園グランド一杯に、凧揚げの声が広がっていく
> それは、風を捉え、風を超え、さらに高く一杯に
> 無責任にも、度を超えて問題沙汰にならないように
> こうして、灘一杯にではなく公園サイズでの催しだよ
そう考えると
> 風に煽られての勢いのそのまんまでもある
> その程度の気分高揚の催しにも見えてくる
‥でも、その配慮こそ、「暮らし」に「繋がり」にという事だろうよ‥
人の夢がどんなに大げさを見せようとも
その白黒の土台として、自然への慮りに帰結せざるを得ないのだ
(そこにこそ、健全が宿るのだ)
1-6)1
|新緑の行幸通りの騒音に馬車と蹄の響きを探す 焼津市・さつき短歌会(8-25)
|蹄立つ行幸通りの花の午後 只真っ直ぐに往路の過客
*蹄(ひづめ)、行幸(ぎょうこう、みゆき)、過客(かかく)
> ‥いやぁ、申し訳ない
> 実に申し訳ない、たかが皇居と東京駅までの往来だけなのに
> こんなにも煌びやかにカネを掛けてるように装っている
‥いやぁ、実に申し訳ない‥
> これで観光三昧なご身分などと、やらかしていたら、実に申し訳がない
さらに
> 馬車沙汰だと‥どうにもかつての列強に準じた装いに納得できなかろうと
> 平安寄りで演出するとこれが牛車になって、もっと申し訳ない足運びになっちゃうんだよねぇ
只真っ直ぐに、往来の皆さんに恥ずかしくないよう、政務に勤しむだけですよ
|山奥の口コミで寄る旨い店 湖西市・川柳今切れ(8-24)
|涼がてらクチコミで寄る隠れメシ 里奥くんだり箸の整う
*箸(はし)
> ‥夏バテしない工夫も世間様への責務ということで
> 涼のついでと、クチコミで人気の隠れた食べ処にまで足を運んでみましたよ
> 大変に美味しゅうございましたっけ
‥また行きたいなぁとか、日々口にしたいなぁとか
思いを巡らせては、「贅」に繋がってしまいます
‥そこは、しっかりと
箸を揃えて「いただきました」を唱えるのが、贅を遠ざけておく上での作法かと
‥行儀が良いとまた向こうからお声が掛かるというものです(着眼)
無理にご自分の許容を超えてまで、マニアに調べまくって通うようでは、贅の虜です
自分からすすんで囚われの身に落ちようだなんて、ただただナンセンスな生き方かと
> ‥あるべきは「贅」に無く
> 「世間から漏れない埋もれないお付き合い」の形です
1-6)2
|ゆつたりと孔雀の歩み余花の園 静岡市・羽衣俳句会(8-24)
|ゆつたりと孔雀の歩み余花の園 ようやく取れた子との休日
* 孔雀(クジャク)、余花(よか)
> ‥花見のピークはとっくに過ぎてしまったが
> こうして客足の多少にまばらな後楽を、子と過ごす休日も悪くないなぁ
|つま先をベビーカーより覗かせてお日様と風とおしゃべりする子 静岡市・しおん短歌会(8-25)
|若葉めくベビーカーより呟きつ お日様と風とお喋りする子
*呟く(つぶやく)
> ‥なにかしらと思ったら
> うちの子がベビーカーの中でつぶやいておりました
> ‥その様子をしばらく窺(うかが)っていると
> どうにも、見えない何かとお話ししているような空気です
(これな積み重ねが、ちょくちょく顔を見せるようなら、天然という事でしょうかね♪)
1-6)3
|さつきつつじと咲きつぎし狭庭に緑もえ立つ四季のうつろい 浜松市・アカシヤ短歌会(8-25)
|咲き継ぎしサツキツツジの色のリレー ピンクに白にむらさきあかと
> ‥庭園程になくとも、よくよく観察していると
> サツキツツジは、一斉に咲き誇っているようでそうでもない
> 代わりばんこに咲くことを楽しんでいるかのように、時期がずれている
(それぞれに、花の色が異なっていればよく解る)
‥なるほど‥
ヒトの目立ちたい欲求にしても、斯様を見倣いたいものだなぁ
|裏庭にインパチェンスを敷きつめて午睡のあともはなやぎにつつまる 焼津市・さつき短歌会(8-25)
|庭にこり インパチェンス敷きつめて 午睡のあとも思わずにこり
*午睡(ごすい)‥昼寝。
> ‥インパチェンス(アフリカホウセンカ)が気に入ったので
> 庭に植えてみたところ、大満足でした
> 作業を終えて、ひと眠りしたあとの彩りも
> やっぱり大満足でした(うふふ♪)
1-6)4
|空家だと庭はこんなに繁るのか木は枝伸ばし森の様相 静岡市・しおん短歌会(8-25)
|空き家なら遠慮なしが木の本音 空気を読んで庭木演ぜらる
*空気(うつわ)‥ここでの当て読み。
> ‥「なんだなんだ!??」今気が付いたけど
> 空き家の方が、圧倒的に木の生長がはやいようだなぁ
なんでか?
思えば、そうか
> ‥木にしても知的生命体で‥
> そこの家の周りの空気やら、あるじの器やらを読んで合わせているとしか思えない
> つまり、役者こいて演じているのかも(ほへぇ〜☆)
もしそうなら、現代社会という奴の器ってのは、相当にまずいって事だろうなぁ
‥なにしろ森が減っている
‥当然、大樹が丸っきり育っていない
それは、自然に見向きされていないという裏返しでもあるからなぁ
|数多ある言葉の中よりただ一つ「さよなら」言ひき柩に向かひ 静岡市・しおん短歌会(8-25)
|「サヨナラ」を伝えてしばし夏柩 うつせみ残る数多のぬくみ
*柩(ひつぎ)、数多(あまた)
> ‥心の支え、暮らしの支えだったことを思い知らされたのは
> それは突然の柩の前だった
> 思いだされてくる記憶の数々が
> 押し寄せてくる記憶の数々が
> もう死んでしまって
> そこで途絶えたのだなぁと思えば思うほどに
> サヨナラしたくない気持ちで、どうにも目頭一杯になっていた
1-6)5
|濁流に車・家まで流されて生き行く水の一滴が欲しと 焼津市・さつき短歌会(8-25)
|夏豪雨もろもろ夢の流れさり 水一滴の大事からとは‥
> ‥多くの夢が流されていったまさかの洪水のあと
> あんなにも降って、雨がそこにあったのに
> 今や跡形も無く、水一滴の欲しさに喘いでいる
あんな目に遭ってさえ、憎しむいとまも無いほどに
> 今は雨が愛おしい
‥地震津波で海を見るのもうんざりなどと
‥そげな甘っちょろいショックも糞もトラウマもねぇ
‥雨が無いと生きていけないという本能を掻き立てているのは、まさにお日様炎帝様だよ
(そういう意味では、やっぱり、ほとほと生かされているかもなぁ)
‥ でもどうして、こうなった?? ‥
|鍬振るふ父に日陰のなかりけり 静岡市・羽衣俳句会(8-24)
|畑にも日除けまほしと父涙 涸れに枯れたり猛暑ざれ
> ‥今までだって、どんなに暑かろうと
> 畑に日除けが有ったらなぁなんて言葉を聞いた事は無かった
しかし今年の暑さは違っていた
> ヒトの側が対策しようとする前から、畑の作物の方が音を上げていた
> 泣きたくもなる惨状を目にしていた
> 誰だって、日除けの必要を思い浮かべたに違いない
それでもこうして生きていられるという不思議だ
だども、父には
続けてやっていけるかに‥以前ほどの自信が伺えない‥
(やはり厳しいのかなぁ、歳でもあるからなぁ)
1-6)6
|病いくつ秘め歩む身を肯えば平穏の日々ゆらり過ぎゆく 静岡市・しおん短歌会(8-25)
|病の身うけがう日々も去年今年 佇みこぼるる平穏つらく
*肯う(うけがう)‥承知する。承諾する。
肯ずる(がえんずる)[漢文訓読]
@…することを肯定しない。…することを承諾しない。
A否定の意味が失われて肯定の意味に転じた。…することを肯定する。…することを承諾する。
> ‥病の身で、床に臥せるようになって
> 今年ももう暮れだ(すぐに新年が目の前だ)
> ‥空白な日常が過ぎ去っただけだったが
> こうして、洪水にも日照りにも蚊帳の外だった
> なんだか、平穏だった事への感謝より、申し訳ない気持ちで一杯だよ
(なるほど、だから「謝る」と綴られているのか‥)
それってつまり
昔から格差ありきだったのかなぁ???
運否のあった側とそうでない側???
否否、食べ物に絡む命のやりとりと儚さを慮(おもんぱか)ればこその性質‥だったのだろうなぁ
(それがどうだい、気が付かないで居たんだなぁ、益々以て、恥ずかしい)
(なにしろ、こうしてその手の病の身なんだからなぁ)
> うた詠み終わります、ありがとうございました。
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