2018年09月13日

【勝手句帳】254 30-8-31,9-1,4 其の1静岡新聞掲載分から

↓4)向宜詠吟.2018/09/13

|逆さ富士踏んで雲湧く田植かな       静岡市・清風俳句会(8-31)

|逆さ富士すべり込んでる五月ハグ ふるさと馬鹿の田植えあいさつ


> ‥うちの三番目のせがれがやんちゃでな
> 水を張っただけの田植前の田んぼに映る逆さ富士めがけて、何を始めるかと思えば

  「富士山とハグや!」

> ‥だとさ、いきなり家族みんなのテンション上げよってな
> それから、田んぼに入ったら入ったで
> 末っ子も又真似てやらかしておるのかと思いきや、ただすっころんでおっての

  今度は半べそさね

  田植え始めの挨拶にしても色々とあるもんだでよ




|谷川を渡る瀬音や河鹿鳴く         沼津市・万年青大学「俳句A教室」(9-4)

|河鹿闇天つ宙まで癒さむと 淵より放つ夏の安らぎ


 *河鹿闇(かじかやみ)、天つ宙(あまつそら)、淵(ふち)

> ‥暗くなると
> 付近の水辺や山村の沢の方から河鹿の小刻みに鳴く声が
> 一層と涼しげに聞こえてくる

  天つ宙まで癒し尽くそうとでも言うのだろうか?

> 昼間のうだるような暑さを思えば、別世界だからなぁ



1-4)1

父母のゐて兄弟六人ゐて麦茶        沼津市・潮音水曜句会(8-31)

|父と母兄弟六人田植えずく 一家総出の天つ唄越え


 *ずく‥尽くし、尽くす、尽くめの略。ずく無しの反対のずくの有る様。

> ‥昔の田植えというやつは、家族総出の歌合戦だった
> 日がな黙々と腰を曲げて居るだけで、結束が高まるわけもなく
> 唄を響かせて来たからこその結束でもあった

  まさに唄を歌って乗り越えるから「天つ唄越え」だ

> 今じゃすっかり個室なカラオケ文化へと追いやられて居る
> 一体感を欠いた歌文化に見られる下り坂まっしぐらは、農業人口の減衰と比例さね
> まぁ精々、新興国との変化の差を比較してみればいいさ




|田を植あの田この田も水の空      静岡市・清風俳句会(8-31)

|苗一面あの田この田も五月晴れ うふふと逆さ天つ空らむ


> ‥田植の済んだ付近の風景は、「逆さ天つ空」へと変貌する
> 見方を変えれば、天上の世界に来た面持ちだ
> 五月晴れだし、五月風だし、うきうきしちゃうよねぇ♪



1-4)2

|田植機一人の田植行き戻り        静岡市・清風俳句会(8-31)

鯉のぼり田植機ぼっち老い一人 夢ぞ幻スイスイ植れど


 *植える→植う(うう)

> ‥おらっちの田植は鯉のぼりの時季だで
> 子供の頃は、田植を手伝いつつ、鯉のぼりの泳ぎに夢を馳せたものよ

> それが今じゃ、田植機ぼっちに老い一人だでな
> そりゃ、田植機を相棒にスイスイやれるのは、楽っちゃ楽だけんどよ
> どうにも、昔の家族総出の唄越えを思えば夢まぼろしだんな

> どっちが良いとか、ほんと複雑でしかねぇだよ


 (一番に複雑になるのは、一人で盛り上がるしかねぇ酒時さ‥ほとほと気分でねぇし)




|がら空きのバスにゆられて青田      静岡市・長田寿俳句同好会(8-31)

|がら空きにバスは空けども青田ずく 日本一の米所を行く


> ‥日本一の米所に観光にやって来た
> バス利用者はどこも少なめだ
> ここも例外に無く、次第に乗車数が減り始める

  すると

> ようやくお望みの青田ずくの光景が、バスに座りながら見通せるようになった
> うーん見事だ、水平線に青田がびっしりと広がっている

  (交通量も少ないんだなぁ)



1-4)3

|青信号待つ間に消えし赤とんぼ       浜松市・雄踏俳句会(9-4)

|青信号待つ間に消えし赤とんぼ 見ざるしあわせ遠きふるさと


> ‥私たちの親世代は
> 夢を掴もうと頑張っている間に、どんどん赤とんぼが消えていったそうです
> それはそうでしょう、念願のマイホームやら道路の下には、田んぼの死に体なんですから

  おかげで僕たちは

> 見ざるしあわせを聞かされ
> 遙かに遠い昔話として「赤とんぼ」「ふるさと」を口ずさむ有り様です

  それで幸せな社会になっているならいざ知らず

  未だに青信号を待ったままで、渡れないままの人も多いのです

> そうしている内に、多くが、ふるさとの風景を失ったというわけです
> 開発競争とばかりに、ふるさとを奪い合えば、そりゃ、美しさも失われて当然です


 ‥美しさこそが公平な宝と思えていなかった愚かさが、僕たちの脳裏をかすめるばかりです‥

 (親世代が、子世代に舐められたって、不思議は無いと思います)




|老い母の作りしトマト思い出す野菜畑と朝霧の味           沼津市・椎の木短歌会(9-1)

|為せば成る母のトマトを今一度 あの香味にはと朝霧


> ‥トマトが食べたい
> ‥トマトが食べたい
> 亡き母の思い出の味の自家畑製トマトが食べたい!

  あの味を今もう一度!

  その為にも、土と朝霧が欠かせないということに今更ながらに気が付いた
  しかし、今年(2018)の酷暑を思うに
  以前のような朝霧を期待するのは難しそうだ‥orz

  ‥否、為せば成る(そう信じてできるところから進めよう)



1-4)4

|猛暑日が居すわり続け先思ふ        静岡市・長田寿俳句同好会(8-31)

|炎帝が居座り続け傾ぐ畑 とくに牧草畜産飢饉


 *傾ぐ畑(かしぐはた)
 参考:「牧草がない」 猛暑による干ばつで欧州畜産業が悲鳴

> 世界的に、牧草の確保が厳しい年らしい(2018)
> すると、畜産農家が出荷を早める→買い叩かれる→廃業
> 代替として昆虫への注目も集まっているようだ(畜産より少ない餌で生産できるらしい)


 ‥昆虫か
 スライスチーズ形状に加工されていると気にならないだろうけど
 練り物みたいに工夫されていると気にならないだろうけど
 それはそれで、何が入っているかなんて怪しいだけだからなぁ

 やはり、姿煮が一番かもなぁ

 蝉の姿煮が旨いらしく
 幼虫の姿煮まで食うのか?養殖するつもりだったのか?知らねぇけど
 掘り出し禁止騒ぎまで有ったからなぁ(味の好みは二分するのが世界らしい)


 (イナゴぐらいなら平気だが、あとはあまりそそられない)
 (しかし最近は、「蚊」を見る度に、海老に似ているなんて眺めるようになってるよ)




|槙の木のやぞう小僧は寄り添いて拳ふりあげこぶし振り上げ      御前崎市・浜岡短歌会(9-1)

|団結や やぞうこぞうのヱイエイオー「防風防砂だ」槙に集えり


 *やぞうこぞう(槙の実)‥遠州地方の方言。

 参考:やぞうこぞう(一般)やぞうこぞう(画像検索パターンA)やぞうこぞう(画像検索パターンB)


> ‥槙の実の生り方は、どこか人形のようだ
> 防風防砂対策として植えられてきたのが「槙の木」ということでもあり
> よく見れば、村の衆が一致団結して、槙を手掛けてきた会合ぶりに見えなくもない

  ‥実は、赤黒く色づかないと食べられない
  青いままではダメというのは、団結と同じという事のようです(へぇ〜)

  実の部分が「やぞう」
  種子の部分が「こぞう」という風に、二等身ずんぐりなのも特徴です



> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 18:09 | Comment(0) | 名句にポン/2018後半 | 更新情報をチェックする
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