2023年09月10日

【用法】体言+助動詞「ぬ」は、二つの顔を写し込む

記稿.2023/09/10


|再選に挑む音色も青東風ぬ「いい音はいいと言わざるを得ない」

 ということで↑の解説をします


> 「青東風ぬ」ってどういう意図があるの?


 まず、青東風(あおごち)の意味ですが
 これが不思議なことに、方言絡みなのかは知らんけど、二つの意味合いがあるようです

 ・雲ひとつない晴天に吹き渡る東風(初夏)
 ・土用のさなかに吹く東風のこと(土用東風)
 (但し、三夏とした扱いには無い)

 ‥ちなみに東風(こち)は、春に吹く東からの風です(九州・関西地方特有??)

 感覚としては、青東風の季語感は初夏にあるらしく
 「青嵐」に含まれる場合もあるが
 「青嵐」が爽快で清涼な風なのに対し、「青東風」は蒸した感じが伴う‥そうです

 (それがどういうわけか、転じて土用東風と同じ扱いになっているという謎)
 (土地土地での感覚の差が伴ってあるんでしょうかね??)


 そして、助動詞「ぬ」ですが
 体言に付けるという大胆な‥なんちゃって動詞化により、脳内で解釈に混乱が生じます
 (風立ちぬ‥みたいな)

 ぬ‥完了・強意・並列の意味をもち、ナ変型の活用で、活用語の連用形につく
   な/に//ぬる/ぬれ/ね

 ず‥打消しの意味をもち、特殊型の活用で、活用語の未然形につく。
  (ず)・ざら/ず・ざり/ず/・ざる/ね・ざれ/ざれ

 ‥とした二つの「ぬ」のどっちなんだ?とした混乱です


> まぁ偶然にも場面として
> 再オーディションなので、最初に受かったAさんと通らなかったBさんと居るわけです
> その音を講師の私だけでなく皆さんで聞き比べて選びましょう‥とした下りです


 その時注意しなければならないのは、どちら側の心境を詠んだのか?‥であります
 なので、双方からの心境を表現しなければならない状況でもあります
 でも、一行で成立させないとダメなんですよ(なんというツッコミ)


|再選に挑む音色も青東風ぬ


 上の句を俳句風に詠み止めると、助詞「に」「も」の繋がりから
 チャレンジャー側の心境に聞こえます
 するとその次の「ぬ」はどうしたって、青嵐よりに非ず土用東風よりだった
 という不思議解釈が成立するでしょう

 「チャレンジャーとした私の音色は、通過者と比べると今ひとつに聞こえてしまうのだなあ」

 という感触を見せるのですが
 下の句の視点は、どうしたって講師の感想です‥すると‥

 ‥通過者の方の音色に対して講師が
 オーディションの時と何ら変わらず安定した音を出しているなあ
 「いい音はいいと言わざるを得ない」‥他の部員も同じように理解したはずである

 という意味に化けているのです


 つまり、チャレンジャーの気持ちとしては、否定の助動詞「ず」の連体形「ぬ」を思わせつつ
 講師とした側の下の句の視点が加わると、途端に
 完了・強意・並列の助動詞「ぬ」とした‥澄んだ音だなあとした青嵐よりの意味に絞られるのです


> なんというたまたまの偶然!珍解釈だろうや‥(ちゃんちゃん)



posted by 木田舎滝ゆる里 at 17:33 | Comment(0) | 短歌・俳句・川柳 | 更新情報をチェックする
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