↓6)記稿.2025/01/13
> Google Map:アルムの山小屋
> Google Map:マイエンフェルト
──アルプスのおんじ歌集「No Heidi,No Life」とは、世界名作劇場『アルプスの少女ハイジ』にて
「ハイジがフランクフルトに行ってしまった←→ハイジが帰ってきた」間のアルムおんじの様変わりや気持ちの推移が
まるで描かれていないことに着目した補間的二次作品である。其を短歌調にて表現しようとの試みである。
ならまず、原作から世界名作劇場に繋がる「おんじ像」の割り出しが必要だ。
なら原作を読むべきだが、今更キリスト教云々の折り返しなんぞ読む気なし。
(そこで、ググって済ますことにした。ある程度の雰囲気ぐらいを掴むのは可能だろう。)
ググって驚いたのは、原作者の原作の他に、後世の作家によるN次創作が多数に登る点だった。
解釈や構成に差が見られ、キーマンである『おんじ』の性格に一貫性が見えてこないらしい。
なので、アニメに登場した台詞の断片を基準に、すり合わせたおんじ像の再構築をまとめてみた。
何はともあれ、アニメとの整合性がスムーズにあればよし‥みたいな。
<ポイントその1>
原作に於ける解釈の二択
ハイジの父トービアスは、おんじと血の繋がりがあるかどうかもハッキリとしていない。
戦災孤児を拾った脇道路線ありき‥みたいな。(中世事情ど真ん中あるある草)
アニメでは、「ハイジは、叔父さんの息子さんの子供なのよ」とデーテに語らせているのみ‥‥。
<ポイントその2>
デーテは、おんじがハイジを見たのは一度切りと言っている。
おんじが、以前にデーテに会っていないのでは、お話としてまったく成り立たない。
<ポイントその3>
ペーターのお婆さんと母親の会話では
ハイジには父トービアスと母アーデルハイドの面影が有り、おんじにも似ていると言っている。
(つまり、ペーターの父親との交流は其れなりにあり、トービアスも満更でもなかった草。)
<ポイントその4>
おんじには怪しい噂話があり、なんでも過去に人を殺めたことがあると噂されている。
デーテにしても真に受けて信じ込んでいる様子がある。(話を合わせているだけかも知れない。)
しかし、おんじがわざわざ自慢にもならない過去をさらけ出してまで‥訂正したいとは思うまい。
それ以前の段階で、デリフリ村とおんじとの間に何らかの関係のこじれがあるのだろう。
仮にあるなら、そちらのこじれから解消せんと、怪しい噂話の訂正には及ばない。
そこは、おんじの性格からして、放置プレイを決め込んでいそうである。
<ポイントその5>
おんじはなぜあれほどにデリフリ村の住人と教会を嫌うのか?‥(ポイント4に通ずる)
<ポイントその6>
おんじは学校に通ったと言うが、どうして学校が嫌いにあるかのようにハイジに語ったのか?
(その頃から学校が嫌いだったらなら、あんなにもお隣さん牧師と口論するわけがない。)
(嫌いだったなら、尚のことおんじの変わり様に、ガキの頃からの知り合いだって面食らうだろう。)
1-6)1
> 原作に伝わる一貫したおんじの過去とは
村一番ぐらいの裕福な家庭に育ったものの
ギャンブルと酒三昧の日々を過ごした後、てめえの家の財を潰して
村人から白い目で見られるようになったのが嫌で堪らず村を飛び出した‥とかなんとか。
その後、外国(イタリア)の軍隊に入り、どうにもゴタゴタを起こして、再び村に帰ってきた。
その時、息子と言われているトービアスを連れていた‥とかなんとか。
トービアスは、デリフリ村のアーデルハイドと恋に落ちた。
生業は大工だったが、不幸にも事故を起こして死んでしまった。
アーデルハイドもその後を追うように持病をこじらせて亡くなった。
ハイジの誕生は、勿論トービアスの生前だ。
> 二人の結婚をおんじは、やはりというかどうにも乗り気では無かったらしい。
> (借金話の蒸し返しが及ぶのを避けたとも考えられる。)
‥そんなおんじは、若い頃にかなりのやんちゃで
夜な夜なマイエンフェルトに出掛けては、賭けトランプに、酒に飲んだくれていた。
それでお家を潰したほどだから、賭けに負けて借金を負っていたと推察できる。
当然、ガラの悪い奴らが取り立てに来たりしていたことだろう。
だから一計を案じて夜逃げ同然にも、催促から逃れるべく、外国の軍隊に転がり込んだと思われる。
車の無い時代の上に、駅と行っても名ばかりの田舎駅だから
マイエンフェルトでの乗車を上手にやり過ごすのは容易いようにも思えるが
お坊ちゃんだったのなら目立つし、本数は少ないのだし、誰からもカネを貸して貰えない状況なら
そりゃ徒歩での旅を選んだように思われる。
だが、そんな素性知れずな輩を即採用するような軍隊も無いだろう。
あるとすれば、即前線送りの傭兵前提だ。
物語構成としては、ワンクッションの間が転がっている印象になる。
(でもそんなサイドストーリーは、ここではどうでも良い。)
そんなこんなで、ほとぼりが冷めた頃に、恋のお相手でも見つけて子供をもうけたのだろう。
その頃にもなるとおんじの年齢との接合性が無駄に気になる所だが
それ以上に、おんじと世帯を構えようとした女性の性格の方に興味が湧いてしまうところだ。
ところが、そのお相手はあっけなく他界してしまったという‥‥せわしい急展開だな。
(それはそれで当時の宗教事情を考慮したやっつけにも見えてくる。)
> 大人な事情の見方なら、お気に入りのその手の店娘でも見つけて、孕ませました‥みたいな
> でも栄養環境に恵まれていなさそうなのだから、産後不調でお亡くなりに‥しか聞こえねぇz
‥まぁ、そうならそうで、おんじにしても急にアルムが恋しくなったように思われる。
慣れない土地で、息子トービアスを育てるにしろ、軍隊勤めのままでは厳しいわけで
考えた末、デリフリ村にしょっこり帰ってきたように思われる。
1-6)2
> この帰ってきた理由や、トービアスの年齢云々よりも
> ‥原作からのはみ出し注目は‥どちらかというと
> おんじが軍隊で人を殺して逃げ帰ってきた噂話やら
> トービアスとアーデルハイドとの出会いの盛り上げ印象の方が濃い。
しかし、話の幅と筋を確かにするには
帰ってきた理由とトービアスの年齢を押さえずにして辻褄は得られまい。
ところが、その辺の経緯が未設定らしく、おもしろ半分の枝分かれがいくつも伺えるそうだ。
‥普通に考えれば、かつてマイエンフェルト街での賭けの勝ち分を回収し損ねた輩が
未だに根に持っているかもしれないことを警戒しただろう。
おんじの人嫌いの方向はかなり徹底しているのだから
その手の奴らの考えそうなことを見越して、用心深くアルム小屋に居を構えたように思われる。
(それ以外の理由なんか要らないと思う。)
何はともあれ、標高の高いところに用意周到にも陣取られては
取り立てる方だって、払う気のなさに呆れただろう。
そりゃ、ただ黙って見過ごしては面白くないのだから
腹いせとばかりに、友人の誰かから聞いた誰かの話をおんじにすり替えて
尾ひれ背ひれを付けて、おもしろ可笑しくばらまいたのかも知れん。
> おんじがわざわざ自分から話すわけも無く、そう考えざるを得ない。(ここ重要)
‥原作者は敬虔なクリスチャンゆえ、作中にその手の教義を盛り込もうとの趣旨だったかも‥。
‥ではあっても、不道徳な間違いを神が許しているかのような勘違いを与えたくなかっただろう。
‥ゆえに、かような世間の裏話を事細かに描写する事への抵抗があった様に思われる。
‥其を避けたがゆえに、原作のおんじ解釈に混乱が生じまくったに違いねぇ‥‥。
(おまけに、そげに不名誉窮まりなき人物に有り体の名を付するのを避けているようなのだ。)
1-6)3
> ‥普通に考えれば
> おんじが軍隊時代に人殺しをしたなんて、どこから湧いてくるのやら段取りの怪しい話だ。
> でも、そんな話でも信じ込んだ村の連中に、おんじはどうにも納得できなかったのだろう。
(村に対する亀裂がここで半分入った草)
その当時、トービアスにしてみてば、年齢次第では学校に行かざるを得まい。
そんな根も葉もない噂を、クラスメイトの口から聞くことにだってなる。
性格によっては父親を嫌いにだってなりかねない。
でもそう言った空気感はなさそうなのだ。
その証拠に、父親がしだした細工仕事を見て興味を抱いた向きを想像できる。
見よう見まねで小遣いを稼いだかもしれまい。
そうであれば大工仕事を生業にだってするだろう。
すると、始めにおいてこそ
おんじの人殺しとした噂話を信じる者の割合は、それ程に多くなかったのかも知れん。
(但し、世代を経てはなんとやら‥‥)
逆に、トービアスの年齢が
青春盛りの良い年頃になってからやって来たのでは、親子喧嘩ばかりだろう。
そもそも、村から離れて、冬でも小屋暮らしだなんて青春の盛りにはとてもうんざりだ。
そんな父親の行動の一つ一つが疑心暗鬼に映るばかりだろう。
> その辺をアニメの接合性で検討していくと、牧師はその辺りの話を蒸し返していないのだ。
それに即して整合性を紐解けば
息子トービアスは、デリフリ村の学校に普通に通っていたと考えても不思議なし。
(若しくは、お隣さん牧師とやらは、まだデリフリに赴任していない時期だったかも知れん。)
その頃のおんじはまだ帰ってきて間もないし、それなりに村頼みの所があっただろう。
村の事情を多少なりとも確認しておきたいと思えば、息子を学校に行かせた方が何かと都合が良い。
ハイジ事案とは異なり、男の子だからとした見立てもあっただろう。
(トービアスが、里の誰かとの結婚とて、想定していたはずだ。)
トービアスも、年頃にもなれば、恋の一つでもと村への引っ越しを考えただろう。
恋人が出来てからなんて言っていては、仕事だって決まりゃしないだろうからな。
なにしろ、村暮らしの方が、子育てするにも助かることの方が多い。
そんなのは学校に通っていれば、肌で感じるだろうし、気になっている娘が居たなら尚のことだ。
(おんじの年齢を考えれば、山での一人暮らしがただの物好きに見えていたって不思議なし。)
(父さんは父さん、自分は自分とした考えを普通に抱いていたはずだ。)
1-6)4
> 当のおんじにしてみれば、息子トービアスを自分の郷里に連れてきた段階で
> 息子が村とどう関わろうと頭から否定する気は無かったはずである。
(なにはとあれ、借金の踏み倒しをせなぁならんのだからな)
(ハイジが来るまでは其を警戒していてマイエンフェルトにまで下りるとの発想に無かった草)
‥であれば、トービアスが結婚話を持ち込んだにしても、ダメを押す理由は何も無い。
むしろ、借金云々とした肩身の狭いうんちくに縛られていたはずである。
そこを子供ながらに察していれば、昔のしがらみからの村嫌い云々を感じていたぐらいで
トービアスにしてみれば、結婚式には顔を見せない方が良いだろうとの阿吽だったかも。
(ハイジにしたって、天然で「私は私」の所があるのだから、トービアスに似たのだろう。)
(父親のその手の細かきを、気に留めるような性格には無かったのだろう。)
(逆にそれゆえ、父親の人付き合いに対する闇が、反面教師だったかも知れん。)
又そうでなくては、ハイジが生まれた後に
トービアスが、妻アーデルハイドと連れだって
おんじのアルム小屋を訪れたとする展開には結びついてこないのだ。
孫の顔を見せながら、「父さん、一緒に住まないか?」の台詞ぐらい残していったはずである。
問題は、その時に、デーテも顔を覗かせて居ないのでは
おんじがデーテの顔を覚える接点を得られないと言うことに成る。
1-6)5
> では果たして、デーテは二人に付いて行き、アルム小屋まで足を運んだだろうか?
> (そりゃ、場所を知っていたのだから、運んだに違いあるめぇ。)
結婚式にも顔を出さない変わり者に関心を示さなかったのでは
アニメの第一話は、不可解しな事になってしまうだろう。
デーテもかなりの好奇心持ちで、多感な所があったように思われる。
‥自立を考える先で、いろんなタイプを知っておこうとか
‥子連れだし姉のカラダを心配してとか
‥折角の機会だから、頼れそうな人かどうかぐらい顔合わせしておこうとか
一方のおんじの態度は、お約束にも、二人の告別式にも顔出さなかったはずである。
それは、デーテの台詞(アニメ)との辻褄からも、そう考えるのが妥当だろう。
> ならば、ここでようやく
原作にある「おんじに信仰が無いから二人が死んだのだ」を鑑みるに
おんじがパンを買いに山から下りてきたところで、皆でたかって口々に罵った場面を想像できる。
その手の台詞を冷静になって解釈するなら
まず、「天に召された二人の信仰心の度合い」は何も折り込んで居らず
二人の信仰心よりも、おんじの不徳による罰扱いとした見方の方が上位に据えられていよう。
(そんなんでは個人の信仰心の厚さなんぞ何の意味もねぇ、ただの全体主義そのものだ。)
おんじからすれば、そんな屁理屈は、矛盾してるし、それこそキチガイの論理でしかない。
(信仰は自由なのら‥とかなんとか。)
‥だがそれはそれで
自分の息子が、慕われて村の連中と上手くやっていた向きが推し量れた一方で
村の輩の信仰心も人間性も当てにならないことがハッキリした思いが膨らんだ事だろう。
この時のおんじへの攻撃ぶりが痛烈すぎたらしく
それ以来、おんじはデリフリ村の連中に呆れ果て、同時に
自分の人生から次々と近しい人が早くに亡くなるという悲観からも
ますますの教会と信仰とを嫌い、アルムの山にその救いを抱くようになった‥‥とかなんとか。
(ここに於いて、村に対する亀裂が、レッドゾーンへと振り切れた草)
(まぁ普通に考えても、始めから人嫌いだったら、どんな理由があれ、軍隊に志願なんかしねぇz)
1-6)6
> では、どうして、おんじはハイジに
> 「学校で習ったことなどなんの役にも立たない」と心にも無い事を宣ったのだろうか?
‥おんじが学校を嫌いだった類の筋立てや回想は一つもなさそうである。
つまり、成り行きの説明をするなんて格好悪いし、面倒くさいのでハイジに嘘を付いた。
という次第に及ぶのら‥‥おんじにしても‥大人のやらかすお為ごかし嘘あるあるだった草。
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