2017年01月04日

【勝手句帳】066 28-12-27 其の2静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2017/01/04

|名も知らず継ぐ父の鉢母の鉢            選者

|名も知らず継ぐ父の鉢母の鉢 出自ぞあろうひとりひとりに


 ‥「鉢」が人の器を思わせるのが面白いっす

 「父の鉢」「母の鉢」を受け継いでそこにその人が在るのだと、そんな風に受け取りました。

 こうして鉢に置き換えてみると、平凡でも、鉢として成り立つ事の方が興味深いのです。

 「器」などと用いると、ついつい大きい方が好いなどと思いがちです。
 「鉢」と用いることで、適度なサイズで成り立てば十分だとの印象に変わるのです。


> ‥これは良き勉強になりました




|知るよりも知らない事が武器になる       焼津市小土

|識るよりもまずは形と腹括る 立てば開かむ立たねば開かじ


 ‥知らない事が武器になるなんてね、若い内だけでーす。
 年重ねても、同じように思ってるようじゃ武器どころかリスクでーす。


> ‥猛将・本多忠勝が形から入るタイプだったそうですが


 6mもの槍(蜻蛉切)を携えてりゃ、そりゃ、雑魚はビビって近寄らんでしょう。
 名のある武将にしたって、ハッタリで無く使いこなしていては、相手にしたいとは思わんでしょう。
 そういう形を以て、形から入れというのなら
 すでに見ている形からして、全然違うと言う事です。

 ちなみに、6mから振り下ろされる槍先は、2階から飛び降りて刀を突き立てるのと同じ効果‥


> すでに見ている次元が違かったのが、本多忠勝の強さの秘訣かと。


 ‥その言葉を正確に表現すれば、「念い即行動せよ」という事になりますな。
 「思いつきの是非など問わずに、念いをそのままに現せ」だったのだと思います。

 でもそれって、忠勝自身、自ら動く時はスゲー無鉄砲でもあったって事ですな。
 実際、その手の武勇伝がしばしば登場する御仁だったようでーす。
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 21:45 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

【勝手句帳】065 28-12-27 其の1静岡新聞掲載分から

↓6)向宜詠吟.2017/01/04

|水鳥の羽音奏でし初冬かな      浜松市中区曳馬

|水鳥ら波紋を残し空に立つ
|幾万羽波紋さかまきねぐら立つ 宮島沼に影や明け空


 

 ‥「水鳥」「初冬」ともに冬の季語で季重ねです。
 季重ねの季語に「かな」止めでは、尚更に詠み足りない印象です。

 あと、「奏でし」が怪しすぎる気配にいろいろと調べてみました。
 ‥お陰で面白いのが詠めました。


 ‥羽音なんざどう考えたって、ただの雑音です。
 「奏でる」ように思えたとしたら‥それは一斉に飛び立たんとしている様というだけの事です。
 (その辺を、どうより判りやすく捻るべきに思うかです)

 ‥数万羽が一斉に飛び立つともなれば
 ぶつからないように警告を発しているのでしょう。(クラクションみたいなものかと)


> とまぁ斯様な向きで、手直し1(俳句)を折ってみました。(小規模な印象)
> でも、せっかくなので、手直し2(短歌)に至りました。(大規模の様子)


 「ねぐら立つ」は十分に季語たり得ると思います。
 ‥というか、それの言葉が歳時記に入っていないと、もはや勘違いに繋がりかねないかと。

 真雁を始めとした冬鳥の行動には、朝に出掛け夕に戻ってくるとした基本行動があるのでーす。
 ‥夜明けと共に飛びだつかどうかの出発時刻は、種によって差があるように思います。
 (よく知らねぇけど)
 ‥また近年では、温暖化の影響によりそのまま定住する傾向を見せているようです。
 (状況に由っては一年中になるのだろうか?‥ユーチューブを見ていてもそんな雰囲気です)
 (まぁ春夏は朝早くから明るくなるし日長だしあわてる必要も無い所はあるでしょう)
 ‥だからこそ、冬の季語にしておく事が、昔ながらの趣を感じさせる意にもなるかと。


> 逆に、鳥は日長と日短の時刻の度合いをどう判断しているのかな?‥と不思議に思います
> 方角の判断でさえ、明確な回答に乏しいのに、こちらに関しては問いすら聞き及びません


 (単純に仮説付けるなら、鳥類の多くが太陽の角度にリンクした情報を処理できる能力が備わる??)
 (鳥は直感で、人は科学計算で‥そのぐらいの違いはあるように思います)

 それにしても、ちゃんと順番待ちしてるんですな。日本人並に合理的!
 ‥どんな順番にあるのかに興味が湧きました。(そこは人間より上手かも)
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 20:44 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年12月28日

【理解】助動詞「つ」「ぬ」が完了として他とどう違うのか?

向宜詠吟.2016/12/28

|辻斬りの手合い尽きねど月の霜 いつもの事と退け見ゆ


 まず、今回折った句ですが

 「退けに見ゆ(しりぞけにみゆ)」の「に」‥
 これが「つ」の場合とどう違うのかと言うことです。

 「退けて見る屍」‥まるで倒れた敵の顔を確認するかのような意思の表れ(興味あり)
 「退けに見ゆる屍」‥いつもの事のように何気なく見たような無造作な様子(興味なし)


> ちなみにネットでは


 「つ」は[何(誰)がどうした]という意志または作為的な動作を表す場合に使うのに対して、
 「ぬ」は[何(誰)がどうなった]という自然推移または無作為的な作用を表す場合に使う。

 ‥という説明がされています。
 しかし、斯様な言い方は実に紛らわしいのです。正確に紐解けば

 「つ」も「ぬ」も、活用と活用の接続における気持ちへの繋がりの区切りを示す完了
 ‥という次第になるかと。


> もう少し例を挙げると


 「つ」‥落ちてしまえ 知ってどうする?
 「ぬ」‥落ちに落ちた 知りにけり

 「落ちてしまえ」とは、自分の意思の表れです。「知ってどうする」とは、意志からの問いです。
 「落ちに落ちた」とは、経過の流れです。「知りにけり」とは、これも経過の流れです。


 ‥とまぁ、ここまで来ればおわかりかと。

 つまりは、動作ごとに気持ちがあり、気持ちには区切りが入るわけです。
 そこに区切りを付けて表す助動詞が、「つ」&「ぬ」と言うことです。

 (連用形で比較すると、そこがよく分かるかと思います)


 その意図がさらに特化して、助詞化したのが、「て」「に」に思われます。

 ということなんで

 物事の一動作に対して気持ちを切り替えるような意図を示す‥助動詞の言い回しとして
 「つ」「ぬ」ともに、強意・並列の意味合いを兼ね備えていたという事になります。


> これこそが日本語の最たる特質なのかも知れませんね


 ‥外国語の翻訳&義務教育(画一的な国語教育)による
 「つ」「ぬ」「り」「たり」を簡易化した活用語が明治から始まって今に至るわけですが、

 外国語と日本語のニュアンスの徹底的な違いが、そこにこそあったと言えるのです。


> なぜ、「日本語」とは呼ばずに「国語」として扱ってきたのか?
> ‥それは、外国語とは決定的に異なる要素を、朧にも感じていたからのように思われます。


 是に見る、一動作ごとの気持ちに区切りを付ける言語が他にあるかどうか知りませんが
 英語学習上の日本人の苦手は、どうにもそこの違いにあるように思えます。

 外国語にも、同じようにそこのニュアンスがどうなっているのかを前提にしてしまうのでしょう。

 しかしまぁ英語のノリを思えば思う程に、発想や解釈自体がまるで異なっています。
 どうにもそこにあるのは、気持ちの切り替え・区切りと言うよりは、切り捨てなんだと思います。
 ‥それがまたどうにも割り切れないと。


> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 23:21 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

【勝手句帳】064 28-12-20/12-23 静岡新聞掲載分から

↓3)向宜詠吟.2016/12/28

「弁天島 冬の夕照」浜松市西区 (写真)12-23

|冬至こそ弁天島の夕鳥居 日のちょぼと居てまどかに暮るる


 touji_bentenjima.jpg

 出典:http://shlakers.hamazo.tv/e4074483.html


 ‥写真は、静岡新聞投稿欄「ひろば」に掲載されたのと似たのをネットから拾ってます。

 この週の金土の分は
 年末で忙しいのにちょうど良く、目に止まる句が少なかったので、写真から詠んでみました。

 (‥というか疲労気味っす‥他のことがしてぇ!)

 (まぁキッチリ三年は続けてやらないと、お互いに身につきませんからな)
 (チェックする方も大変でしょうけど)


> 夏至に沈む方角を、グーグルマップで確認したところ


 まず、冬至の夕日ばかりでなく、朝日だって拝めるのではと思い、
 グーグルマップの反対から拝めそうな位置を閲覧してみたところ、距離が遠すぎて無理。OTL

 太陽方向への角度が腑に落ちなかったので、夫婦岩と比較してみたらそれなりに違ってた。
 ‥片方は人工物、片方は天然の岩、違いが見られてもさほどの問題もないのだが

 (キッチリと冬至の方向との解釈は‥かなりの思い込みにあるようでーす)

 ‥それにしても
 地軸が移動してるというのに、どうして鳥居のど真ん中に収まるのだろうか?
 夏至や冬至の頃になるとコソッと戻ってたりするの?(どうにも腑に落ちなーい)




「来年の主役」富士宮市 (写真)12-20

|唯そこに鴨のんびりと水面掻く 留まらざるも知恵の内なり


 所謂、水面に鴨三羽の図でーす。(三羽とも左向き)似たのを探してみました。
 http://andy-renny.blog.so-net.ne.jp/2014-03-21


|飛んでよし泳いでよしと鍛えたる身の引き締まる味や鴨肉


 ‥やっぱり肉と言ったら、良く鍛えられて締まった赤身っす。
 (すっかり肉は口にしませんが、ジビエには多少そそられまーす)
 (ググって出てくる捌かれた写真がもろ生々しいっすよ)
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 03:38 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年12月27日

【勝手句帳】063 28-12-20 静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2016/12/27

|ことことと刻む音から母の味      浜松市・浜松川柳クラブ

|コトコトと煮つく湯気から母の味 手伝い学べうまし頃合い


 ‥「刻む音」どうしてここで音なんだ??(どちらかというと匂いだが‥)

 「ことこと」が音じゃなかったら、なんだってんだよ。
 音を調理してるんですか?(そりゃ音楽だ)
 目が見えないならまだしも、そもそもにして和歌を詠むには見えてることが前提だ。


 ‥そして料理の美味しさの見極めは、匂いが教えてくれるのだ。


 音なんて精精、調理中の手順。そこに母の味なんてある筈ねぇ。
 てめえの口の中のグチャグチャ音はさほど不快に思わなくとも、
 他人のグチャグチャ音ほど目障りな響きもない。

 ‥たまに旨そうな噛み音を立てて食ってる珍しい奴も居るけど、
 それは料理じゃなくてそいつに興味を示すばっかりさ。(食欲もそそられるだろうけどな)


> 五感をフルに感じられないと、料理は美味しそうに伝わらないのでーす。
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 00:39 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年12月25日

【勝手句帳】062 28-12-17 其の2静岡新聞掲載分から

↓8)向宜詠吟.2016/12/25

|ことさらに落葉の厚し出城跡      沼津市・潮音水曜句会

|殊更に歴史に落葉真田丸 知れば知るほど謎ぞ深まる


 ‥「出城跡」って、えらい控え目やな、どう見たって真田丸だろう。
 ということで、整えてみました。




|踏み込めぬ結界のあり懸崖菊      伊豆の国市・田方野句会

|よく見れば懸崖菊やリーゼント 昭和のツッパリ大正ロマン

 kengaigiku_.jpg Regent_.png

 L:画像の参照先 R:東方仗助(ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない)


 *懸崖菊(けんがいぎく)‥菊を盆栽仕立てにして、花柄のリーゼントのような趣の鉢菊。

 ‥「懸崖菊」の歴史は、概ね大正からだそうです。

 「大正」と「大将」を懸けまして、下の句に盛っておりまーす。
 ‥まさに「踏み込めぬ結界」のような‥技ありですな。(爆)
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 17:22 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年12月23日

【勝手句帳】061 28-12-17 其の1静岡新聞掲載分から

↓8)向宜詠吟.2016/12/23

|傾ける夕日を踏みて芋洗ふ       富士宮市・早蕨句会

|傾ける夕日を踏みて芋洗ふ 惜しまざる母の影ぞ焼きつく


> ‥是は見事としか云いようがない着眼と整いです。(素直に脱帽)




|双子座は天頂にゐて虎落笛       富士宮市・早蕨句会  

|双子座は天頂にゐて虎落笛 迫り来る矢☆魔球カーブす


 *虎落笛(もがりぶえ)‥冬の強い風が柵・竹垣・電線などに吹きつけて発する笛のような音。


 (俺的には青天の霹靂のような語感センス‥どうしてこの当て字になったんだ??)

 ‥それを放り込んだ句が、また俳句甲子園のような詠みっぷり
 ぱっと見よくわからないのが俳句甲子園の勢いだが、是はさすがに知らないと「?」でーす。

 「風が強くお陰で星空もとい流星群がハッキリと見えている」‥所を詠んだわけです。

 ‥ところが微妙なのは
 ふたご座の季節は冬とは異なりますが、ふたご座流星群は十二月です。
 また、「星」の類は秋の季語です。で、「虎落笛」は冬の季語です。


> つまり、インパクトのある季語を盛ってきて、「冬」を強調せんとして居るわけです。
> (そこの狙いとしては、見事に成功しているかと)


 ‥とはいえ、斯様な代物をどう引っぱれば良いのかに悩みつつ
 ユーチューブ映像を眺めていたところ、思わぬ発見をしちまいました。

 

 ‥36秒のあたりをご覧下さい。
 画面左中央やや下から流星が真っ直ぐやって来るのですが、
 途中で、なにかを避けんばかりに魔球的進路変更をしております。
 ‥え?マジ?、なにこれ??‥UFOなの??ほんとに流星??‥それともCGですか??

 (2倍速で見ると、バットから逃げるような魔球軌道!)
 (飛行機でもあんなにきれいには曲がれないっスから!)
 (まるでハイウェイに沿うコーナリングを見たような!)
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 15:28 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年12月19日

【勝手句帳】060 28-12-16 静岡新聞掲載分から

↓9)向宜詠吟.2016/12/19

|白山に降る雨しとど地を見つめ頂めざして階を踏む        焼津市・さつき短歌会

|敗戦や降る雨しとど地を踏めるあの雨思う‥なれど天つ晴れ


 ‥「降る雨しとど地を見つめ」この余韻に、「雨の学徒出陣」映像を思い浮かべちまったす。
 特集等でなんどもお目に掛かるっすからね、そりゃもう、「終戦の玉音放送」とセットですわ。

 ‥ということで、「白山」うんたらなんてどうでも良くなりまして
 敗戦のその日の日本人の心境とやらを句に折ってみました。(by学徒兵視点)


 


> ‥我が国は負けたのか‥(薄々感じてはいたが)あの学徒出陣の雨を思えば
> すでに散っていった友も居るというのに、こうしておめおめと生き延びるというのでは
> どうしたって悔やんでも悔やみきれない‥それなのにどうだ!この青空は‥
> 負けたというのに、終わったという気持ちの方に半分ほっとしてしまっているのだ‥
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 22:32 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

【勝手句帳】059 28-12-13 静岡新聞掲載分から

↓4)向宜詠吟.2016/12/19

|霧動き現れたるは備中城       静岡市・葵句会


 ‥おやおや来ましたね、天空の城の句です。
 竹田城址と備中松山城の二つもあるようです。
 (竹田城址は石垣のみ、備中松山城は天守あり)

 見頃はどうにも冬の朝のようです。(とくに11月下旬〜12月上旬)‥以降雪注意。
 ‥秋の朝から想定内らしいのですが、どれ程の差があるのかは知る由もありません。


> 季語は「霧」ですか、なんというのか攻めがベタすぎるっす‥
> では、まず、第一案


|いにしえの叢雲晴れて竹田城址

 無季でーす。まずは無理せず無季で攻めてみましょう。
 年代絡みは、至って斯様な攻めになりまーす。*城址(じょうし)
 ‥続いて第二案

|天つ明け叢雲晴れて竹田城址

 ほうほう、朝の天空ぽくなって来ました。じゃあとは「冬」を入れるだけですな。
 ‥続いて第三案

|天つ明け叢雲のぞく冬城址


> なるほど、竹田を取ってしまうと途端にイメージを欠くのがわかります
> ということで、晴れて→のぞくになりました。(やはり季語のあるなしは要でーす)
> ‥続いて、投入堂(なげいれどう)で折りまーす♪


|岩に入むかそけき仏 投入堂

 無季でーす。(ちなみにこれは今年の夏頃の詠み)
 *入む(しむ)、かそけし(幽し)‥音・色などがかすかなさまである。(ここではひっそりした意)
 ‥文字化けにも今回浮かんできたのが

|言わせ見や かそけき仏 投入堂

 ‥ほうほう「言わせて見やれ」‥驚きを見に来い、そんな感じですかね。(じゃ、掛詞だね)


|巌蝉やかそけき仏 投入堂
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 00:53 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年12月18日

【勝手句帳】058 28-12-10 静岡新聞掲載分から

↓7)向宜詠吟.2016/12/18

|貧しさに耐へし日思ふ野路の菊     静岡市・羽衣俳句会

|貧しさに耐へし日思ふ野路の菊 豊かさ問ふまま秘めたれ越えて


 ‥随分と明治な感じに思えるのですが、まぁ戦後の様相でしょう。
 「野路の菊」の放り込みに存在感があります。

 (明治の頃は、まだ日本の原風景は江戸の頃のままにて野菊が人気だったのでしょう)
 (戦後ともなると、どこも焼け野原ですから、尚更に原点回帰の風情だったのだろうと思われます)
 (軍による統轄が睨みを利かし、国風を乱すような、無闇な生物の輸入を拒んでもいたのでしょう)
 (‥贅沢を規制する風潮の流れだった点も見逃せないかなと)


> 豊かさを問うまま、そこに漠然とした疑問を抱え込んだ心持ちにて
> 激動の時代を乗り越えて来ましたが
> 今でもあの頃の貧しさが懐かしく思い起こされるような
> ‥いつしかのこの路に咲く野菊のままにございます。


 ‥間違っても平成の貧しさとやらでは無いと思いますが
 それはそれで‥少なくともそこは、田園だろうから‥それはそれで、
 何を貧しいとしているのかの基準が不明確になり兼ねないでしょう。

 それの意味でも、「野路の菊」のイメージに付きまとう‥「あゝ、野麦峠」
 もとい、明治の生糸産業の時代背景は外せないのです。(読んだことないけど)


> いつしか不平等貿易が始まって、税制が始まり
> 米相場が下落して、一気に貧困に落とされ、工場の要員に導入されて往ったのです
> まぁそういう流れだったんですな。なにが世界の品質とか誇りとか世界遺産とか馬鹿ですか!!




|星降るや一万尺の秋夜長        焼津市・浜風句会

|星瞬るや一万尺の秋夜長 こぼるるしずく峰の峰まで


 *瞬る(ふる)‥星の瞬き専用の(星がふる)に用いる当て字。(俺推奨)
 *一万尺‥概ね3000m。

 ‥季重ねバリバリのくせに、随分と怒太く整ってやがるwww
 まぁツッコむポイントを示すなら、一万尺たる何かが何ら示されていない点です。
 というところで+七七を引っぱってみましたが、付け足すべき用も少ないので
 ミルキーウェイの意を借りてきて、盛っておきました。

 (共に敗北感ありありで、非常にもどかしいっす‥orz)




|山門を額縁にして寺紅葉        焼津市・浜風句会

|山門を額縁にして寺紅葉 千古を伝ふ求道ありけり


 *求道(ぐどう)‥仏の教えを求めて修行すること。悟りを求めること。

 ‥「額縁」まぁ誰しもがそれを思い浮かべるだろうにしても、丁寧に整っています。
 悩ましきは、どう+七七に引っぱるかでした。
 ということで、052に出てきた「千古」を盛ってみました。(知らんかったら、かなり無理っぽ)


> ‥今から観光がてらに、山門に足を踏み入れるにせよ、帰るにせよ
> そこにある誘いは、「求道」のひと言に括れるかと思いました。
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 01:02 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする