2016年09月04日

【勝手句帳】009 28-8-30 静岡新聞掲載分から‥その2

↓6)向宜詠吟.2016/09/04

|猿山も政治家さんもボス狙い  藤枝市・藤枝川柳番茶会


> 来た来た来たー、こういう視点があったのか!!!


 ‥それにしても、「さん」まで付ける必要なんてありません。
 それと、政治家×→政治屋○だそうですからね。


|猿山も議員も餌欲し右往左往
|閣僚や猿の心で米国犬(べいこくいぬ)
|キャンキャンとミサイル騒ぐ安倍政権
|犬猿の仲をよそおい戦争法

|財源と代替かつあげ麻生節
|危機感を煽るお仕事 歳入詐欺
|単式で鼻高々し官僚簿記
|複式で黒字がバレる官僚簿記
|一番のブラック帳簿 財務省

|鉄板や猿も議員もアメとムチ
|国会やカネと武装の議論の場
|しあわせを論ずる場なら井戸端で

|司法どこ?糾弾国会問う争い
|いつの間の三権束ねし議員砲
|司法は猿を、国会は猿山を
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 17:25 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年09月03日

【勝手句帳】008 28-8-30 静岡新聞掲載分から‥その1

↓6)向宜詠吟.2016/09/03

> ‥なんというのか大変な労力だな。余計なことをおっぱじめてしまったのか?


 あまりにも張り切っては、他の時間が減る‥加減が勉強らしいな。
 仕事って部類の奴は、主体的に選ぶほどそんなもんなんだね。

 加減に挑戦していくのが仕事‥(痛あぁぁぁぁ)

 歳を重ねる度に、加減を考え直さざるを得ない端境がやって来て一生勉強。(痛あぁぁぁぁ)
 ‥主体的に挑戦してみないと一生わからない。こき使われているだけでは一生見えてこない。
 ‥誉められてよろこんでいる程度の心構えでは一生知り得ない。ダラダラやるだけなら尚更。


|自らの加減の底を汲まずしてやり甲斐などと計れず
|自らの加減を振りかえらずして改善など口にすることも無し
|頑張るとした思い込みを言い訳にしても不快なり
|心地良さなくば、ただのわがままな登山にすぎず‥
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 12:55 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年08月29日

【勝手句帳】007 28-8-26 静岡新聞掲載分から

↓10)向宜詠吟.2016/08/29

|空蝉を僕の宝と籠を見せ  静岡市・中央寿俳句同好会


 ‥なかなかに、堀り下げてみたくなった。


|空蝉を僕の宝と空を説く
|蝉三日残す命で果たす旅
|恋し唄 歌ってうたって蝉三日
|子作りが最後のさだめ蝉三日


 ‥この勢いで、女子が口説けたら夏少年もたまんねぇだろうな。
 まぁそんな女子など居るわけがない。居たらいたで大変だろう。


|やり果てて朽ちるだけとは蛍の夜
|やり果て’ん命の滾り鮭還る
|ユスリカ柱 射精の如しやり果てり
|産卵や やり果てて逝く烏賊一年


 やったらお終い。それっきり。そこに愛などあるのだろうか?
 ‥あるのなんて、そこそこの勢いだけだろうな。
 ‥生命の半分はそんなのばっかり。なら人間がそうでも仕方ないよね。
 ‥人間が愛と讃えるのは、その後の如何にしてどうしたか‥なんだからな。


> 新聞を一日分見逃していて、日順がズレました。あしからず。
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 16:43 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年08月28日

【勝手句帳】006 28-8-27 静岡新聞掲載分から

向宜詠吟.2016/08/28

> 今週分は短歌でした


 短歌は俳句とは異なり、人それぞれの日常の日記としての色合いが濃くなります。
 そんなのにいちいちあれこれいってもはじまらんのですが、上手い下手は確かにあります。
 ‥否否、ただ単に好き嫌いとした範囲でしょう。

 そういう意味では、そそる視点だけに注目するのが日常でしょうか‥

 ‥そそるといっても、熟達してくる程に
 言葉の言い回しが面白いとか、その視点に同じく俺も詠んでみようかなの好奇心でしょうか。


 ↓‥ということで、気になった一首がこちら


|金泥の赤の蓋つき漆椀けさの朝餉は殿様のごとし  藤枝市文化協会短歌会


 ※ 朝餉【あさげ】‥朝飯

 これは、旅行先の朝飯に驚いている様子を歌ったのでしょう。
 年配者なら、こんなの朝から見たことないといった感じに読み取れます。
 ‥時代もここまでサービスを考えないと客が来ないのかな(?)‥といった気持ちなんでしょうね。
 ‥若い人でも旅行をさほど経験したことが無いうちなら、そりゃ新鮮な感覚になるでしょうね。
 ‥外国人なら、それこそワンダフルのニコニコなんでしょうね。


> それにしても下手すぎです。


 「けさの朝餉」‥言葉が無駄すぎます。
 「金泥の赤の蓋つき漆椀」‥これも縮めてOKです。
 「殿様のごとし」‥あたまにもってくれば「殿様かい?」で済みます。
 ‥それで、だから、どう思ったのかを整えるべきです。


|「殿様かい?」金泥朱蓋漆椀 旅館の朝餉おらが前  手直し


 ‥まぁこんな気持ちだったんだと思われますが、どうなんでしょうね。

 ちなみにググってみたところ、"塗蓋椀"でググると
 その手の検索画像がダッダッとヒットしてくるようです。
 ‥まぁ当人が朱を主体に詠んでいるわけですから、そのままにしておきます。
 (といっても「赤」ですからね。赤はダメでしょう。どうしたって「朱」の間違いです。)


 ‥この「金泥朱蓋漆椀」にそそりました。


|時は今 金泥朱蓋漆椀 殿様飯ぞおらが前
|たまたまのホテル泊まりの朝飯の金泥朱蓋漆椀
|ここまでのデフレと思う旅館めし金泥朱蓋漆椀
|正月にやれば好いのに金泥朱蓋漆椀で食べ放題



> うた詠み終わります、ありがとうございました。
↓/発想を読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 20:57 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年08月20日

【勝手句帳】005 28-8-16/8-19 静岡新聞掲載分から

↓7)向宜詠吟.2016/08/20

|夕立にはしゃぐ下校児水たまり  沼津市・千本プラザ俳句教室 8/16


 夕立は今降ってるだろうか?、過ぎたのだろうか?
 まだ降っているなら、べつに水たまりがどうのこうの云っても始まるまい。
 ‥こういう時系列への意識が、織り込まれていないのを見てしまうと、どうしてもそそるね。


|夕立や友とじゃれ遇う水たまり


 ‥とはいえ、「夕立や」と一旦切る程度か。
 遇うを使うともはや下校時では無い。その夕立に「いつ」とした制約も無くなる。
 日曜の夕立かも知れないし、夏休み期間中の夕立かも知れない。
 偶然居合わせれば、そのまま遊ぶかも知れないし、そんな最中の夕立が去ったあとの様子になる。

 尤も、居合わせることになったのは、水たまりの方だろうけどね。
 ‥そう考えると、これはこれで、下校時でも通るのである。
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 15:22 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年08月14日

【勝手句帳】004 28-8-13 静岡新聞掲載分から

↓3)向宜詠吟.2016/08/14

|流れゆく水の光や川とんぼ  裾野市・寿大学俳句教室
|流れゆく○の光や○とんぼ


 一見よく詠めているようでいて、実にツッコミ甲斐のある構成がされている。
 とくに○とした部分を欠くと、途端に場所が不明になる。
 はじめの○に川を放り込めば、とんぼの種類を放り込めるようになるし、別の季語でも構わない。


|流れ飛ぶ水辺の王者オニヤンマ
|流れゆく河の光や鮎跳ねる


 ‥なんて具合か

 ところで、流れゆくとしているのは、何だろうか?
 川だろうか、水だろうか、歳月だろうか、それともトンボの飛翔の光景か?
 ‥どうしたって全部だろう。

 ならば、そこの所の持ち味を引っ張り出そうとしたら「水の光‥」では弱すぎる。
 ‥なんとな〜く、格好良さげな響きに釣られて、全体の構成を窮屈にしている。
 ‥水の光といったら、主体は水面の反射そのものになってしまうわけだから


|流れゆく水の光や夏ホース


 ‥なんて具合か

 「流れゆく○の光や」という節の○の中に、背景を置いてしまう勢いがあるわけだから
 舞台の主役を次に持って来るという構成になっている。
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 14:20 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年08月07日

【勝手句帳】003 28-8-6 静岡新聞掲載分から

↓6)向宜詠吟.2016/08/07

|風に舞ひ麦藁帽子雲の中  沼津市・潮音みどり句会
|風に舞ひ麦藁帽子○○○


 ‥雲の中。ファンタジーな余韻が好い感じに思えはするものの
 飛行機から落としたわけでもなし、絵画チックにも詰めがあますぎです。
 ○○○の中に入れるとすれば、‥天青し‥雲高く‥まぁそんな感じでしょうかね。
 飛んでったのを残念にそう思ったなら、手の届かない所のニュアンスも好いでしょう。
 ‥川の向こう‥波の向こう‥でも、そんな着想には見えませんね。




|ぶつけあふことがお仕事ビアジョッキ  沼津市・潮音みどり句会
|ぶつけあう今がお仕事ビアジョッキ  手直し


 ‥実に手直ししたくなりました。
 酒の肴に愚痴もぶつけ合うんでしょうが、それはいつなんですか?
 つまり、今でしょ。そこの無礼講に、歴史的仮名遣いなんて尚更に不用っすよ。




|干物旨し七月の天日と風  沼津市・きさらぎ句会
|七月の天日と風や干物良し  手直し


 おいしそうに詠ませたいわけですから、まずは、格好良く見せようとしないと整ってきません。
 それは如何にもケースの中に包んで飾るようなどうでも好いことではありますが、
 キッチリやらないと、商売にも腕前にも結びつかないという‥

 ‥それが手間暇というものにございましょう。

 世間様が何にお金を投じて下さるのかと申せば、その手間暇を惜しまぬ心意気にございます。
 「ああ、めんどくせえ‥」
↓/続きを読む/↓
posted by 木田舎滝ゆる里 at 14:05 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年08月02日

【勝手句帳】002 28-7-30 静岡新聞掲載分から

向宜詠吟.2016/08/02

|たんぽぽの土手へ散歩の歩を伸ばす  富士宮市・川柳芙蓉
|たんぽぽの土手散歩の歩を伸ばす  手直し


 「へ」と「や」の違いですが、

 「たんぽぽの土手へ」では、どうしたって、まだそこまで来ていません。
 そのタンポポがどうなっているかが描かれているわけではありません。
 つまり、季語としても機能していない中途半端な嫌いが生じてしまっています。
 そこで、「たんぽぽの土手や」とすることで、季語として整ってきます。

 ‥さらに

 「や」としたことで、今から行こうかなという気持ちより
 来てみたあとの気持ちとして表現できるわけですから、
 思ったよりタンポポが咲き誇っていたので誘われて余計に歩いてみたの解釈になってきます。

 ‥どうせ歩くなら、そんな阿吽が描かれていた方がずっと歩きやすいかと。




|春彼岸孫も揃った墓参り  富士宮市・川柳芙蓉
|春彼岸孫と出掛ける墓参り  手直し


 ぶっちゃけた話、縁起がよろしくありません。
 墓前に揃ったのか‥墓中に揃ってしまったのか‥嫌々、ダメでしょう。
 印象としても影を誘います。

 ‥このような場面では、言葉は濁さずハッキリと示してなんぼです。




|大砂丘風も扇いで祭り凧  浜松市・浜松川柳社いしころ会
|大砂丘○○○○○祭り凧


 「風も扇いで」なんてそっくり要りません。中七だけ改めて詠み直して見るべきです。
 まぁ形としては、祭り凧なんですから、どっちに転がっても上がっているイメージです。
 凪いでいない限り
 「大砂丘」と頭に持ってきてるんですから、砂塵と共に舞っている光景が前提です。

 そもそも

 「風も扇いで」って、誰が風を扇いでるんですか?
 凧を扇ぐとは表現するでしょうが、風は気ままに吹いてるだけです。


|大砂丘砂塵に耐えし祭り凧  手直し
|大砂丘砂塵に耐えて祭り凧  手直し

 
 「耐えし」‥なら、その日は、相当な風に煽られていた様子が伝わってくることになります。
 「耐えて」‥なら、砂丘近辺の暮らしぶりが背景にあって、漸く祭りを続けている印象です。
 ‥言葉選びに詰まったら、そこで起こりそうな事情や、暮らしぶりに思いを寄せて見るべきでしょう。




|焦るほど出て来ぬ駄句に目が回る  浜松市・浜松川柳社いしころ会
出て来ぬと焦って駄句や目が回る  手直し


 前後の言葉を入れ替えてみる癖を持ちましょう。
 ‥言葉を掴まんとして、とりあえず単語だけが浮かんでいるなんてことは、よくあることです。
 ‥それをよくよく吟味しないままなんて有り得ません。




|ハッピーな夏ならあとだしジャンケンポン  袋井市・高南句会


 何を言っているのかよくわからない、でもなんか印象だけはむだに好い感じです。
 実にインスピレーションを感じさせてくれますね。

 ‥では、詠んでみましょうか。


|ガリガリ君、夏のとりっこ あとだしジャンケンポン


 ‥好いですね。名句です。こうはなかなか出てきませんよ。


> うた詠み終わります、ありがとうございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 11:06 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする

2016年07月28日

【勝手句帳】001 28-7-26 静岡新聞掲載分から

向宜詠吟.2016/07/28

> ‥要するに静岡新聞に掲載されてる投稿分を手直ししちまおうってコーナーである


 そこには選者の顔がある‥でもまぁそんなこったぁ知ったこっちゃない
 もう一押しするとぐっと良くなるのに、誰も直さないというのもなんとも勿体ない
 見事なのも乗せちゃうけどね‥(名前までは載せません、あしからず)
 ちなみに、全部に目をとおすことはない。(気分次第、目が止まった奴次第、だって趣味だもん)



|あれやこれ鏡に選ぶ夏帽子  牧之原市静波
|あれやこれ鏡選ぶ夏帽子 (手直し)


 ※ 鏡と相談しながら選ぶわけだから、どうしたって、それは相談相手に喩えた方がしっくり来る。



|わが生をうづめ果てむと希ふまで梔子の香の白く漂う  吉田町住吉
|わが生をうづめ果てむと希ふかと梔子の香の白く漂う  (手直し)


 ※ 梔子(くちなし)
 願うまでなんて言ってみたって、所詮は長生きしたいのが本音だろう。
 梔子の香りが漂っている様なんてまさにそこの気持ちなんだからさ
 「まで」じゃなくて「かと」になる
 ‥俺には、梔子が読めなかったので、線香の残り香が名残たらしく漂うイメージに思えた。



|麦秋も死語となりしか黄に実り波打つ畑も消えて久しき  富士宮市沼久保


 ※ 好いですね。こういうの好きっす。消えちゃうのはほんと残念。



|ブーメラン思はす月の反り具合戻りて来よとしばし佇む  焼津市大村
|ブーメラン思わす月の反り具合戻ってこいとしばし佇む  (手直し)


 ※ 比喩だろうとブーメランなどと言う海外文化と歴史的仮名遣いは似合わない。


|きのふ晴れけふは雨なるわが身体慰めおだてテレビ体操  磐田市上新屋


 ※ 一方の同じ横文字でも
 テレビは日本発の技術なんで(しかも静岡)、歴史的仮名遣いでも全然OK。



|木々深し青葉繁りゆくさわさわとひと葉ひと葉の育み重ねて  富士市吉原
日々歩き青葉繁りゆくさわさわとひと葉ひと葉の育み重ねて  (手直し)


 ※ どう考えたって、木々深しは余計だし、字数としても勿体ない。
 そこで、日々歩きなんて感じに付け替えてみた。
 ‥こちらの方が「育み重ねて」の意に掛かり、より深みが増すと思うところだが。



|梅雨に濡れ庭を彩る紫陽花のうす紫に思ひを宿す  島田市金谷清水
|梅雨に濡れ庭を彩る紫陽花の青と赤の宴を花ビンに  (手直し)


 ※ 思いを宿すって、誰が?何に?‥
 どう見たって下の句はやっつけだ。もっと具体的にせなあかん。
 そこで手直しのようにしてみた。


|富士山は雲より上ぞ頂上に立ちて短歌を作って喜ぶ  沼津市下川原町
|富士山は雲より上ぞ頂きの遂に来たりや遂に立ちたり  (手直し)


 ※ こちらなんて、さらにやっつけすぎる。
 「何がどんな気持ちなんだよ、おいおい、行動を事細かくしたためてる文字数なんかないん!」
 ‥とまぁお陰で手直しにも名句が詠めましたん。こうはなかなか詠めんね。


|富士山は雲より上ぞ頂きの遂に来たりや遂に立ちたり




|確かに聞いた老大国の割ける音  【選者】英国、国民投票でEU離脱にて詠んだらしい。
かつて世界を股にせり若輩国の割ける音  (手直し)


 ※ 全然なってねぇ、英国なんて日本と比べたらひよっこの歴史しかないん!
 英国なんざ、ただの鼻っ柱の強かっただけの若輩国だろうが、その時点で歴史認識がわかってねぇ。
 ‥ここはどうしてたって、聖徳太子のメンタン切った風に詠んでみたい。
 ‥それこそが字余りにもメンタン切ったの勢いだ。

 しかしなんだ、どうぜならもっとハッキリ詠めば良いだろう。

|英国や若輩国の割ける音




> ↓あまりにも見事すぎてて驚いた詩

目玉のある大きなおむすび  沼津市香貫樋ノ口

見た前 あの目玉のある
大きなおむすびを
長い脚で闊歩していた
気高いタカアシガニがいまは
ごろんと転がっているだけだ
これはいかなるものの
尾羽打ち枯らした姿なのか

彼の甲羅の身も寄る年波には勝てず
八本の脚と両腕に 点々と
黒い斑が浮き出てきて拡がると
付け根から次々と捥(も)げていったのだ
まだ目玉と口を動かしている

螯(はさみ)がなくては餌がとれない
そう 達磨大師にあやかって
断食の上 入滅を図ろうとする
達磨おむすびになったのだ
嗤いと苦悩を一緒くたにした面構え
透明の鋭い両眼は遠くを睨んでいる

あの目玉は惨憺(さんたん)とか哀れさとか
いうものから さらに壮絶な
実存の覚悟といったものだ
ぼくのなかのやわな形而上学を
少しでも塗り替えなくては と
思うもののただ畏れ入るばかりで


 ※ 年齢不詳なのがかなり気になった。


> うた詠み終わります、ありがとうがございました。
posted by 木田舎滝ゆる里 at 14:55 | Comment(0) | 名句にポン/2016 | 更新情報をチェックする