2017年05月05日

【勝手句帳】102 29-4-28/4-29 静岡新聞掲載分から

↓8)向宜詠吟.2017/05/05

|ハーモニカ吹けば心の日向ぼこ          清水町・清流句会(4-28)

|ハーモニカ吹けば心の日向ぼこ 滲むさみしさ耳き入るような


 *滲む(にじむ)、耳き入る(ききいる)


 ‥是は是は、一本取られた趣の余韻です。


> ハーモニカの音色はどうして心に響くのだろうか?
> でもその音色はどこか寂しげで、そのたどたどしく思える幽かな響きが
> どこまで続くのだろうか?‥と、ついつい思って聴き入ってしまうのだ
> どうして、その人がハーモニカを吹くと、あんなにも儚く幽かな調べが滲み出すのだろう‥
> ぼくはどうしてその音色に魅了されるのだろう‥
> いつまでも聴いていたいその調べは、まるで日向ぼっこのようだ


 
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2017年05月04日

【勝手句帳】101 29-25(読者文芸)静岡新聞掲載分から

↓9)向宜詠吟.2017/05/04

|名のなきも名のある山も笑ひけり                藤枝市時ヶ谷

|知る山も知らぬ山も春の仲 花ははにかみ霞に隠れり


 ‥ネタは着目よりも
 言葉の盛り方(名のなき‥名のある‥)が面白い印象ですが、
 日常の言葉で盛るなら手直し(知る山‥知らぬ山‥)の方です。

 さらに、

 「山笑う」の季語としては、それで成立しているように見えはしても、
 文章としては、笑う対象がどこにも示されていない形ですので落ち着きません。


> ‥まぁ、そんなこんなで斯様なリスペクトになりましたん


 「山笑う」はほぼ初春よりの季語で、
 「春霞」は晩春よりとの違いはあるわけですが、そこはまぁどうにもなりません。

 ‥どちらにせよ、ネタの句の印象自体が、初春らしくありませんからな
 (そこが、笑う上での対象が別に有るのではないのかと、思わせてしまっている敗着です)


> 対象をさらに要求してしまうような季語の応用(言い回し)には、注意しましょう。




過疎村のオルガンひとつ卒業歌                 島田市旭
まっすぐな思ひ出の道糸桜                   御殿場市神山



 *糸桜(いとざくら)‥枝垂れ桜の別称。


 ‥ネタ1は、「過疎村」をどう解釈するかになります

 パッと見の印象として
 上五は「分校の」だろうと思うわけですが、

分校のオルガンひとつ卒業歌

 ‥どうにも、卒業式の練習との向きも否定できなくなってきます。
 ということで、「過疎村」と強調してある意図を考えてみるに

 この後、「廃校」なのではないのか??‥と思われるわけです。

 ‥ですが

 上五「過疎村」の盛りでは
 どうにも、外部からやって来た人の目線です。(卒業写真を撮りに来た業者のカメラマンとか)

 いやいや、それじゃ駄目でしょ

 どうしたって、自分ところの学校をそんな風に表現するわけがないんです。
 (それでなくても、この村には楽器がオルガンしかねぇような向きにも見えてしまっています)


|果てるらむオルガンひとつ卒業歌 泣きけるこの日も糸桜


 ‥本日、分校を卒業することになりました。
 ‥思えば、私が、この分校の最期の卒業生になりました。
 ‥(どうしてなのだろう)
 ‥卒業と同時に里の分校が消えてなくなると思うとほんと泣けてきます。
 ‥そういえば、見送った卒業式の度に校庭の糸桜が咲いていたように思います。
 ‥この日も忘れられることなく咲いているのを見るとますます泣けてきます。


> ネタ2は、列んで隣りにあったので、「糸桜」だけお借りしました


 ‥無理に「思い出」などと盛ろうとしてもどうにも変!

 「まっすぐな思い出って何?」
 「まっすぐな思い出の道って何?」

 人間ってのは、たいてい凸凹した思い出しかないものでして
 道にしたって、凸凹が前提です。

 ‥真っ直ぐなのは「志」で概ね十分です。

|挫折なくして、真っ直ぐな道など成らずっ!



|廃校のオルガンひとつ懐かしき あの頃のまま今も耳こえり

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2017年04月28日

【勝手句帳】100 29-4-22/4-25 静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2017/04/28

手品師の手春風の来てをりぬ            沼津市・今沢オレンジ句会(4-25)

|手品師の手に春風や鳩出でて ここにもここにも平和呼ぶよう


 ‥ネタの着目に、「なるほど」と思い斯様になりました。


 しかしまぁ、どうしてそこで「鳩」を盛らんのでしょうな??
 今時のマジックは、マジシャン・セロの影響で随分と変わりましたが、

 ‥昔のマジックと言えば、鳩、鳩、鳩のオンパレードだったのです。

 子供ながらにも、どうせどこかに隠しているんだろうと思うものの
 まぁ単純にかわいいからと、そこから先が思考停止だったりしていましたが、

 今のマジックは、マジに種明かし云々の視点で勝負してますからね。


> そんなショーでは詰まらないとばかりに、種明かしもせっせと始めて居るようですが、
> その手のテクニックもある一方で、「是って能力じゃねぇの?」ってのもありますからね‥




山路来て一声だけの初音かな             沼津市・千本プラザ「俳句教室」(4-25)

|山路来て一声だけの初音かな 斜陽と言われど生き残り


 ‥ネタは無難に整っています。着目も悪くありません。
 でも、平凡と言えば平凡です。

 ‥その平凡をどう引っぱるか‥

 「山路」はそうでもありませんが
 「山路来て」とまで盛れば、やや峠を越えたなだらかなイメージを含みます。
 ‥その解釈のかすかに見出して、伝統工芸産業の生き残りを掛けました。


> ‥こんな風に詠めるとは!
> 今年の遅い春でなかったら、お目見えしなかったかも‥(普通にこんな風には無理っ)
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2017年04月27日

【勝手句帳】099 29-4-21 其の2静岡新聞掲載分から

↓4)向宜詠吟.2017/04/27

囀りのおぼるる雨となりにけり       牧之原市・静岡白魚火会

|囀りはおぼるる雨となりにけり フラれ文句が‥「忖度してねッ」


 ‥「囀りのおぼるる雨」をどう解釈するかですが、パッと見よくわかりません

 ‥せっかくの春の旅先で雨に見舞われたということなのかなぁと思えるだけですが
 それでは面白くないので、恋の歌に解釈しました。

 「ウグイス泣かせたこともある」の言葉もありますから、
 「さえずり」=「告白」でセットオンっ
 ‥すると、問答無用でフラれちまった詠みに、一目瞭然です。


> でも、十七音だけではわかりにくいので、引っぱります
> ‥どう表現するとフラれた印象が鮮明に、且つ、斬新に思い浮かぶかです。


 で、選んだ言葉が「忖度(そんたく)」です。


 ♂「ぼくと付き合ってください」
 ♀「ええっ☆、何をいきなり仰っているのですか!?
   忖度してくれないのではこちらが困ります‥じゃ、もう行きますので」‥ツン


 ‥忖度(気持ちを汲んで下さい)と言われてどう解釈するかですが

 それは相手の表情や態度を見れば明らかです。
 でも、攻め方がまずかったのかも知れないので、どうにも意味不明と云えばそのままです。

 勝手に、当人が自分有利に解釈することも可能ですが、それでは
 その告白が、「今からお前を襲うからな」と宣言しただけに思えるばかりでしょう。

 (それはさすがに違うわけです)

 それにしてもウマい断り表現があったものですね。

 (これは日本再発見レベルの衝撃です、是の解釈なら、欧米人だって訳さずにはおられまい)


> しかし、この告白断り文句の「忖度」活用案ですが、
> 場合によっては、OKの意味での解釈も可能です。


 例えば、欲求不満姉ちゃんが、酒場でエロい格好をしていて
 野郎から誘われたとしたら、その「忖度してね♪」の意とは、

 「好きにして」「やさしくしてね」としたOKの意味にも解釈されるでしょう。
 やはり‥俗な場所や状況によっては、解釈が変わる特徴を持つ可能性がございます。

 ‥ただし、何かあった場合には
 「OKしたとは一言も述べてません」とした態度も取りますからね‥の意味でもあります。

 その点は、相手をよく見て、空気を読む必要があるということです。
 もともとの「忖度」が、斯様な使われ方だったわけですから、その流れを否定できません。


 (こうなると、欧米では翻訳のしようがなくなり、別々の言葉を探さざるを得ないのかなと)




|結局はここが居場所春炬燵        牧之原市・静岡白魚火会

|結局はここが居場所春炬燵 ポテチにゲームのおぼろ月


 ‥たまたま新聞欄に、こちらのネタが、先のネタの句の隣りに並んでおりまして
 問答無用で、フラれた後の様子の扱いになりました。


> 「の」と「と」の違いですが、


 フラれた等の気分落胆のニュアンスを織り込めたかどうかです。

 ‥ちなみに、ネタの方の「の」は
 昔なら炬燵の発熱ランプが下に大きく張りでていたので、それが邪魔と、
 春には仕舞って別の卓を出していたのですが、今の炬燵は発熱ランプが薄型なので、
 カバー布団だけ片付けて、そのまま座卓として用います。

 そこの時代の流れに、何かモヤモヤしたところを感じて詠んだように思われます。
 (つまり、まんま春の炬燵の置き所を着目した句になると)

 ‥まぁ多少は、自分の境遇と重ねてあるようにも思われます
 ‥昔は片付けておけるだけのスペースがあったのに、今じゃすっかりその場所も確保できずと
 ‥家電の数も増え、押し入れも小さくなり、その辺デフレで家賃も下がったりと
 ‥「と」とは違って、「の」にはそれなりに納得感ただよった趣です
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2017年04月26日

【勝手句帳】098 29-4-21 其の1静岡新聞掲載分から

↓4)向宜詠吟.2017/04/26

のままで逝ったもあった空と海     掛川市・主流掛川句会

|あののままで散りし里 あの空あの海あの人ら


 ‥ネタの着目が、素直だな
 と言うことで、オッサンも詠んでみたっす。


> 311から、時間が経過してから詠むとこんな感じと‥


 ちなみに、「木の芽」は春の季語っすが、「蕾(花芽)」は季語じゃねぇっす。
 落葉樹を考えれば分かることっすが、
 葉が落ちるのは秋と決まっているので、芽が出るのは春と動きません。
 つまり木の芽は、「花芽」ではなく、「葉芽」が前提と‥

 「あれ☆」

 木の芽は、「葉芽」前提????

 (やべぇ認識不足だった、どうも申し訳ありませんでした‥m(_ _)m)

 ‥で、花は
 概ね、春・夏・秋と種ごとに異なるので、
 その蕾やらは、季語には成り得ず、「○○の蕾」と盛る必要があると‥


> しかしだな


 梅に桜あたりの木の芽と言ったら、「花芽」前提だぜ、おい。
 花咲いた状態のどこに、「葉芽」が目立ってお目見えしてるってんだよ!?

 「おい、ふざけんなよッ」

 梅やら桜やらの「木の芽」と言ったら、「蕾」前提じゃねぇか!!!
 「花」は、「桜」ないし「梅」前提なんだから、「蕾」もそうしとけや!

 ‥それの葉芽について、誰が好んで詠んだってんだイッ!!!


 「責任者、出て来いや!!」




|思いやる心はいつも胸の奥         富士宮市・川柳芙蓉句会
|思いやる心はいつもサングラス       ‥同意置き換え‥


|思いやる心はいつも目の表 安全確認 前後左右


 ‥「胸の奥」って表現は、仕舞っとけって意味ですからね
 「思いやる気持ち」を、いつも仕舞っといて、どうしようってんでしょうかね??


> 全く以て、目に鱗が付いとりますな(喝ッ)


 ‥いいですか
 「いつも心に太陽を」なんて言葉がありますが

 

 それは、心に思い抱くという意味です。
 いつもその思いで心を満たしておきませうと言っとるわけです。

 でも、ネタのそれは明らかにニュアンスが違うでしょッ

 ‥まぁしかし

 そういう勘違いをされとる方は、一人や二人ではないと‥
 「うほ☆」‥こげな所で、気持ちの表現の云々につまずいちまってるなんて
 十分な言語感覚の習得が欠かせませんな。(頑張ってくだされ)


> ちなみに、この手の表現をべたに盛ろうとしても、墓穴を掘りやすいので
> 何らかの生活習慣に置き換えてやると、比較的すんなり‥言葉の綾の差が分かるように思われます。
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2017年04月24日

【勝手句帳】097 29-4-18 静岡新聞掲載分から

↓6)向宜詠吟.2017/04/24

|空を射す阿修羅の指や緑立つ         沼津市・万年青大学「俳句A教室」

|闇さらす阿修羅の板や松笑う六月解散早う早う


 *緑立つ(みどりたつ)‥松の新芽(松の芯いわゆる花)が勢いよく芽吹くさま。(晩春)


 ‥松の新芽(成長すると松ぼっくりが生る)なんて意識したことねぇ
 そりゃ昔は、松と言えば、薪集めの注目一番っすから
 新芽を気にするぐらいは当たり前のことで、季語にあってもおかしくねぇ。

 でも、「緑立つ」ってのは、
 松明(たいまつ)の当て字センスと比べても、どうにもピンと来ませんな。

 (で、いつ頃の言葉よ。室町ですか?、江戸ですか?、明治ですか?)

 ‥掛詞で考えても、「松笑う」とか、やってくれないと
 (伸びると、風になびいて曲がってくようだし)


> ‥ところで、ネタの句の着目がまったくよくわかりません
> 「阿修羅の指」と「松の新芽」と何の因果があるんすか??


 松の芯が伸びて曲がったのを、阿修羅の指に例えましたとか‥そりゃマンガすぎるだろう。
 ‥つうことなんで、発想を飛ばしちまいました。(おまけ)


|天を突きラオウの拳死に立つる 一片の悔い得じ勝手漢


  


 *勝手漢(かってかん)

 ‥ラオウ(北斗の拳)なんて、好き勝手に生きてただけのようなもんなんだからさ
 ‥それで悔いがありますなんて、口が裂けても言えねぇだろうがッ
 ‥権力手中にして、悔いがあるなんて、それこそ権力得る資格無しの劣等生だぞ!
 ‥信長みたいに、「いつ死んでも好い」ぐらいの図太さと強かさで上等だッ

 (つまり、ラオウとしては普通の行動。格好いいなんて騒ぎすぎッス)




|春風に少女は髪を靡かせて          焼津市・千草句会

|春去らんオスカル瞳を靡かせて 抗うよりも衛らんと


 


 *靡く(なびく)

 ‥ネタの着目は、画としてはバッチリだろうけど、まぁ整っていようと平凡だよね
 ‥つうことなんで、こちらも発想を飛ばしたよ

 それにしても、世界のオスカルさんには申し訳ありませんが
 (オスカルファン(ベルばら)はどうでも好い) 


> 「オス化る」「オス狩る」だよね。


 ‥いやぁ、良く整った女子の肉食化路線の筆頭だよ(改めておでれぇた)
 ‥オス化るしてるくせに、護らんとしているのも、どうにも「お姫様」もとい「お姫様願望」だし

 ‥いやぁ全く以て、フランス革命って、「庶民にもお姫様の暮らしぶりを!」ってな感じっス
 でも露と消えたんだよね、お姫様もといお姫様願望が‥と言う筋書ですな。


 (どうにも、現実路線での喩えとしても、その辺に自覚があるように思われます)
 (お姫様願望なんて‥無理、無駄、カースト上等!てかッ)
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2017年04月22日

【勝手句帳】096 29-4-14/4-15 其の2静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2017/04/22

|旅立ちはさまざまな事桜舞ふ         焼津市・いせぎ句会(4-15)

|旅立ちは様々なこと花巡る 背中押しつつ引きとめる風


 ‥ネタの、下五の「桜舞ふ」の括りの込めようは
 単なる心象風景のまんまで、全体の輪郭まで見えてきません。

 様々な事柄も同時に浮かんでいるとの着目にあるので
 様々なことには好いことばかりでも無いわけで
 そこのバランスを考える必要があります。


> ‥そのような二極性が絡む場合には
> 単に思い起こされるとして、軽めに的を絞る感じで攻めてみるのがコツです。


 花であっても、咲くこともあれば、散ることもあるわけです。
 そこの両方のニュアンスを、様々な思いへの二極性に重ねて、どう表現するかがポイントでした。

 ‥そしてそこには

 未だ離れたくない気持ちもままあるわけです。(着目にしたなら当然)
 そこがサッパリしている性格or事情持ちなら、斯様な情緒を詠むには至らないわけでーす。




|峡を縫ふ宅配便や春浅き           富士宮市・裸子玉藻句会(4-15)

|峡を縫う宅配便や春の雲 都会の空気の往きかいて


 ‥「春浅き」では、今年の遅い春の事情にとらわれすぎかなと
 まぁ日記としてならありですが、普遍的な日常を感じさせるには不足です。

 ‥「峡を縫う」とあるので
 どう考えたって、宅配が来たのではなく、
 宅配のバイクなり車の走っているところを見かけたとの印象です。

 そしたら、あれですよ

 峡での暮らしなら、「どこのお宅かしら?」「何を注文したのかな?」なんて
 人口密度の高いところとは違って、ご近所さんの顔がちらついたって不思議はありません。


> ‥そんなところを


 「春の雲」とおぼろに盛った方が、
 峡の暮らしののんびりというのか‥春先の穏やかさというのか‥
 雰囲気が醸し出されるように思われまーす。

 (まぁ住んでみたこともないので、妄想に近い発言で申し訳ないのですが‥)
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2017年04月20日

【勝手句帳】095 29-4-14/4-15 其の1静岡新聞掲載分から

↓5)向宜詠吟.2017/04/20

|たんぽぽや富士借景に色をそへ             沼津市・潮音みどり句会(4-14)


 *借景(しゃっけい)‥庭園外の遠山や樹木をその庭のものであるかのように利用してあること。
            また、そのような造園法。

 ‥つまりネタの「富士借景」とは、どこぞの庭園から見た風景と言うよりは
 富士山の景観をそのまま庭として見立てているという事になるかと‥

 ‥と言うことになりますと
 「色をそへ」の括りでは、どうにもバランスが覚束ないかなと‥(括りとしては物足りない)

 ‥字面からの印象と着目を鑑みるに
 俳句には収まりきらない空気を感じざるを得ず
 思い切って短歌にリスペクトしてみたところ、和歌のレベルまで飛躍した次第です。


|借景を富士に頼みしタンポポの 胸張る誉れ かの山の四季


> 私たちの暮らしには富士山があります
> 富士山を毎日眺められるなんて、贅沢な庭を兼ね備えた屋敷で暮らしているようなものです
> 春先のタンポポは、そんな私たちの日々富士山を仰ぐ姿のようです
> タンポポが、そんな富士山の見えるふもとで胸を張って生きるように
> 私たちもまた、富士山の四季を見る度にその姿を誇りに思い暮らしています


 (‥こ、これ程の厚み、一人じゃぜってぇ着想できねぇな)




眠むさうな地蔵の垂れ目鳥囀る             沼津市・潮音みどり句会(4-14)
手も足も伸びきって猫日向ぼこ             静岡市・わらしな渓流句会(4-14)


 ‥「鳥囀る」
 どうにも「囀らない鳥があったらもってこい」のツッコミです。

 ‥「猫日向ぼこ」
 猫がその辺で寝転がっている様を「日向ぼこ」と呼ばないわけがない‥

 ‥双方共に着目はユニークにしても
 どうにも、句の整いとしては平凡です。そこで、この二つを合体しちまいましたとさ。


|眠むさうな地蔵の垂れ目春の昼 猫もたもとで手足伸びきる

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2017年04月18日

【勝手句帳】094 29-4-8/4-11 静岡新聞掲載分から

↓7)向宜詠吟.2017/04/18

体内古道のありて春灯し          袋井市・高南句会(4-11)
胎内鼓動のありて春近し          打ち直し&手直し



 ‥「古道」??「鼓動」の打ち間違えでは??
 しかしそれでも意味が通らない‥どうにも、「体内」→「胎内」ということらしい。

 ‥そこまで違っては、許容内の打ち間違えどころか‥謝罪のレベルだな‥
 ‥しかし「古道のありて」が気に入った


|生き様に古道のありて春来たる 一期一会の顔ら浮かべて



> 人にはそれぞれ歩いてきた足跡がある
> 目標を持って積み上げてきたのなら、必ずや春が訪れることだろう
> そこに至ったまでの一期一会すべてに、感謝の気持ちを届けるように




|繋がっているか彼の世まで寒椿        袋井市・高南句会(4-11)

|散椿つながりたれや彼の世まで 苦しみ抜いて未だ戦友


 ‥さてさて、椿にどんな思いを重ねたのだろうか?
 ネタの詠みだけでは、どうにもさっぱりである。

 ということで、手直しし引っぱってみた。


> すでに戦後もX十年を経た‥
> なのにあの頃のあの日々の方が、この散椿のように、ずっと鮮烈だったと言わざるを得ない
> あの世の友もそう思っているのだろうか?
> もし成仏できずに彷徨っているのなら、その当時のままの気持ちをぶつけてもらいたい
> それが未だ戦友として揺るがずままにあるこの気持ちなのだろう
> ‥あの頃の苦い体験が、どうにも頭から離れることが無いように


 ‥戦争を知らない俺が何を綴ってんだか・・・(まぁいいか)


 下の句の引っぱりとしては、家族・知人辺りの想定で詠むのが普通なんだろうけどね
 そういう発想というか、感情がほとんど湧いてこない‥

 親が無口だからそうなったのかどうかは知らないが、親と趣味が合っていないのもあるだろう。
 (世間ともズレてるようだしな)
 兄弟姉妹にしたって、女二人・男一人だから、
 いつしか、そこに居ただけで、情報を交換するような会話すらほとんどしていない。


 ‥まぁ、そういう意味で言うと、語り合う相手を求めたことも無い
 ‥まぁ、語ることと云えば、どうでも好い世間話ぐらいにしかならんからな
 ‥それにしたって、同じに継続できるだけの条件がそろってないと趣味話すら成立しないものさ

 ‥成立しない時間に慣れすぎると、マジ、どうでも好い(めんどくさいとしか思わん)

 必要なのは、物事に関した情報の確認であって、
 そこに絡まるお前・お前らの乱れた感情など、どうでも好いと思うようになる。
 (まぁそっちこそが、人間を観察する上でのツボ情報なんだけどな)
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2017年04月14日

【勝手句帳】093 29-4-7 静岡新聞掲載分から

↓7)向宜詠吟.2017/04/14

|筒を手に構内の袴春を告げ            島田市・茶の花島田句会(4-7)

|なみだ立つ卒業袴筒を手に「ありがとうございました」吹き交う


 ‥「構内」「校内」???
 まぁそこは置いといて、この俺が「卒業袴」を詠もうとは(ありえねぇ!!!)

 それにしていも、「春を告げ」は変だろう。安易すぎる。
 折角の着目が中途だな。

 そもそも、校内において「誰に告げるの?」「何を告げるの?」
 まったく以て、しれっとしか伝わってきません。


 (‥お陰で、柄にもなく考えちまったぞ、どうしてくれるんだよ、おいッ)


> こんな句が世に出ると、ますます「卒業袴」に拍車が掛かるだろうが!!


 ああ、そうだな。「好い迷惑だ!」
 でも、さすがにジャージでは誰も出ねぇだろう。日常着すぎるからな‥

 (そういう範囲での着飾りたいがあるにすぎないと言うことです)
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